宮沢ひなたが悩んだ時、いつも隣にいた友 もう一つのなでしこ物語

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潮智史
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 これはサッカーを巡って生まれた、現在進行形の物語だ。

 主人公は、宮沢ひなたと江原奏音(かのん)。中学、高校と同じチームでボールを蹴った。同じ大学の同じ学部に進んだあとは、それぞれ別のチームでプレーを続けた。

 でも、むしろ、そこから2人の関係はより強くなって、いまにつながっている。

 同級生の2人は23歳。

 ひなたは、なでしこジャパン(日本代表)で背番号7をつけている。いま豪州ニュージーランドで開催中の女子ワールドカップ(W杯)で5得点を挙げ、世界中にその名が知られることになった。

 奏音は、法政大学スポーツ健康学部を卒業すると同時にスパイクを置いた。中学、大学で所属したクラブに残り、そのクラブのトップチームでマネジャーを務めている。

 トップチームは関東社会人1部リーグを舞台に戦っていて、全国リーグへの昇格をめざしている。いつか昇格した日のために、奏音はスポンサー集めや広報、さらに育成組織の指導者としても忙しい日々を送っている。

 出会ったとき、ふたりは中学1年だった。いまから11年前にさかのぼる。

 当時、地元の神奈川県西部に、中学年代の女子チームはまだ少なかった。星槎湘南大磯総合型スポーツクラブの女子ジュニアユース「レイア湘南FC」にはボールを蹴る場を求める少女たちが集ってきていた。そのなかに2人もいた。

 奏音の記憶では、ひなたはまだピッチ上で目立つ存在ではなかった。

 ただ、いつも明るく振る舞い、裏表なくひととつき合う社交的な子だった。

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 何事にも生真面目な奏音はチ…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年8月11日10時50分 投稿
    【視点】

    とっても清々しいストーリーです。なでしこジャパンの宮沢ひなた選手と、江原奏音さん。つかず離れず、でも互いに欠かせない存在であり続ける2人です。その関係性、とっても素敵です。宮沢選手はキャリアの最後、江原さんが裏方として支えるレイア湘南FCに

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    潮智史
    (朝日新聞スポーツ部記者=サッカーなど)
    2023年8月11日10時50分 投稿
    【視点】

    ピッチから少し離れたストーリーを取材しました。 にわかに時の人となったなでしこジャパンの背番号7と、中学、高校と同じチームでプレーし、さらに同じ大学の同じ学部に通った同級生。いま立つ舞台は大きく違うように見えて、でもサッカーに関わるという意

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