パートナーシップ制度 県内利用ペア拡大中

佐藤純 西田有里
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 性的少数者らの人権を尊重し、カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ制度」。埼玉県内では、5月までの3カ月間で利用するカップルが一気に33組増え、全体で218組になった。県は、この時期に制度を導入した自治体が多かったことや、制度の周知が進んだことが背景にあるとみている。

 埼玉では、県は現時点で制度を導入しておらず、市町村が取り組んでいる。

 導入した自治体は、当事者の宣誓や届け出にもとづき証明書などを発行。公営住宅の入居、公立病院での病状説明などの際、パートナーとして対応する。

 県は2021年5月から3カ月ごとに市町村の導入状況を調査。同年11月からは利用実績も調べている。

 今年2月1日時点では、県内63市町村のうち41市町が導入し、185組が利用していた。

 その後、3~4月に加須市、春日部市など13市町も制度を開始。5月1日時点では54市町、218組にそれぞれ増えた。3カ月間で30組以上増えたのは、今回が初めてだという。

 性的少数者のカップルと子どもを家族として認める「ファミリーシップ制度」を導入する自治体も増えており、5月1日現在で26市町にのぼる。ただ、調査開始以来、利用は1組にとどまっている。県の担当者は「ファミリーシップ制度はパートナーシップ制度に比べて新しい制度なので、まだ知られていないかもしれない」などとみている。

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 パートナーシップやファミリーシップの制度を持つ自治体が連携し、カップルや家族が引っ越した時に、簡単な手続きで制度を利用し続けられるようにする取り組みが、広がっている。

 5月1日現在では、本庄市など4市町、所沢市など5市、越谷市など3市がそれぞれ連携していた。

 6月1日に両制度を導入した東秩父村は、同時に、パートナーシップ制度について東松山市など8市町と連携し始めた。

 さいたま市も他自治体との連携を進める方針だ。

 同市は20年に県内で最初にパートナーシップ制度を導入し、昨年ファミリーシップ制度も始めた。

 今年8月から越谷市など3市の連携に加わり、秋以降さらに連携先を広げる方針だという。さいたま市と3市の間では住民の転入・転出が多いといい、担当者は「制度がより利用しやすくなる」と期待する。

 他に朝霞市など4市も連携に向けて協議している。

 連携が広がることで当事者が利用しやすくなり、利用するカップルが増えるなどして、県内での制度の定着に弾みがつきそうだ。

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 パートナーシップ制度を導入している都道府県は、近隣では東京、群馬、栃木などがある。一方、現時点で埼玉県が導入する見通しはない。大野元裕知事は5月の定例会見で「県が導入したとしても何の法的効果も持たない」と述べた。

 すでに県は、県営病院での手術や治療をめぐる説明・同意、県営住宅の入居資格などについては、同性カップルを事実婚の夫婦と同様に扱っている。

 ただ、制度を導入している県内の自治体首長からは「県も導入を」と望む声があがっている。

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