小田急線の刺傷事件、被告に懲役19年の判決 東京地裁

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田中恭太
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 小田急線の車内で2021年8月、乗客3人を無差別に包丁で襲ったなどとして、殺人未遂などの罪に問われた住所不定、無職対馬悠介被告(37)の裁判員裁判の判決公判が14日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。判決は「走行中で逃げ場のない電車内で無差別に乗客を次々に襲ったもので非常に悪質」として、懲役19年(求刑懲役20年)を言い渡した。

 判決によると、対馬被告は21年8月6日午後8時半ごろ、登戸(川崎市)―祖師ケ谷大蔵(東京都世田谷区)を走る電車内で、当時20~52歳の3人の胸などを包丁で刺して殺害しようとした。3人は約1週間~約3カ月のけがをした。

 判決や公判での被告人質問などによると、被告は大学時代から気持ちの浮き沈みが激しくなった。大学中退後の26歳の時、20歳の頃に双極性障害を発症していたと診断された。

 コンビニや倉庫の仕事などを転々とし、15年に実家を離れてからは次第に生活や心に余裕がなくなり、勤務先や客に嫉妬や憎しみを覚えるようになった。21年2月に無職になって生活保護を受け、「100円でも惜しい」などと考えて万引きを繰り返すようになった。

 事件当日は食料品店での万引きが見つかり、対応した店員や警察官への怒りが、以前から憤懣(ふんまん)を抱いていた社会に向かったという。

「強い殺意、明らか」

 被告は初公判で起訴内容を認めた。弁護側は「犯行時に迷いが生まれた」として殺意の程度は強くなかったと主張し、量刑が争点になった。

 判決は、スマートフォンの操作中で無防備な被害者をいきなり刺し、さらに混乱状態で逃げられないでいる別の乗客も手加減なく切りつけた、と指摘。「強い殺意があったことは明らか」と認定した。

 その上で「自身の怒りを抑えきれずに、無関係の他人に無差別に危害を加えるという身勝手な動機に酌量すべき点はない」と述べた。

双極性障害の影響については

 双極性障害の影響について…

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