台風で引き起こされた波、海中に1週間以上さまよう 深さ1千m超も
台風によって海に引き起こされた波のエネルギーが1週間以上も海中深くをさまよっていたことを、東京大と九州大の研究チームが観測データを分析し、突き止めた。海中の漁業設備や海底ケーブル、洋上風力発電などの海洋インフラの台風対策や保守点検の参考になりそうだ。
研究チームは、佐渡島(新潟県)から北西約40キロの沖合で、水面から深さ1770メートルの海底まで垂直方向に、流速計を連ねた係留観測機器を設置。2019年から1年間、観測データを集めた。また、気象データから、台風の通過時に日本海の海面にエネルギーがどのように注がれたかを地図化した。
19年7~10月に三つの台風が日本海を通過。分析の結果、同年9月22~24日に日本海を進んだ台風17号では通過の約1週間後に、水深100~150メートル付近で波のエネルギーの強いピークを観測した。
500メートル付近でも比較的強いエネルギー量を観測し、1千メートルを超えても続いた。
波の周波数や波長から、これらのピークは観測点から北西に約200キロあたりで台風通過時に注がれた大きなエネルギーが運ばれてきたと推測した。
当時は対馬暖流の蛇行で周辺の海域に直径70~80キロの渦ができていたことが人工衛星で確認されている。この渦が、台風通過時に観測点の近場でできた波が近づくのを邪魔したことで、波のエネルギーが台風通過時から遅れてピークとなったとみられるという。
別の台風でも通過後しばらく…