築95年木造駅舎のカフェ閉店へ 名物はカレー 建て替えで「退去」

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福家司
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 JR高徳線の引田駅(香川県東かがわ市)の木造駅舎内で、23年にわたり営業してきた名物カフェが今月末で閉店する。老朽化した駅舎の建て替えを進めるJR四国の意向を受けた市に、立ち退きを求められたという。自家製カレーが地域住民に愛されてきただけに、ショックが広がっている。

 カフェの名前は「カフェ ド カンパーニュ」。京都出身の田井勝久さん(74)が、妻尚美(ひさみ)さん(64)の古里である同市の主要駅、引田駅の構内に2000年、オープンした。尚美さんの手料理をヒントに編み出したキーマカレー風のカレーが評判を呼び、地元の常連客が定着。人口減少やコロナ禍も乗り越えて、営業を続けてきた。建物はJRの所有だが、市から賃借している。

 田井さんによると、昨年秋ごろ、「駅舎には耐震性がなく、シロアリの被害もあって老朽化している。JRから立ち退きの依頼がきている」と市から退去を打診されたという。田井さんは「自分が居座っていると、話が進まない。悩んだ末、不本意ではあるが閉店を決めた」と胸の内を明かす。

 JR四国によると、駅舎は開業時の1928年の建築で、駅は昨年3月から無人化されている。総合企画本部の永易雅志・担当課長は「建物の状態はよくないので、いずれ建て替えたいとは市に伝えていた」としたうえで、「こちらから期限を決めてカフェの立ち退きを求めたことはなく、まだ市と協議をしている段階だ」と説明する。

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 築95年となる同駅の駅舎で…

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