妊娠の仕組み知らず 知的障害者の乳児殺害、識者「継続的性教育を」

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上保晃平
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 生後間もない男児を殺したとして、軽度の知的障害がある女性(25)が殺人罪に問われた裁判員裁判が昨年、千葉地裁でありました。女性は妊娠の仕組みに詳しくなかったといいます。事件を防ぐには、何が必要だったのでしょうか。知的障害者の性教育の現状と課題を探りました。(上保晃平)

 事件があったのは2021年12月。女性は千葉県四街道市グループホームで深夜、急な腹痛を感じて2階のトイレに駆け込み、便器内に男児を出産した。

 パニックになった女性はとっさにへその緒を手でちぎり、トイレの窓から4・65メートル下の地面に男児を落とした。3日後、男児の遺体が発見され、女性は勤務先で逮捕された。

知識少なく、周囲に相談もできず

 22年11月に千葉地裁で始まった裁判員裁判では、女性が性行為や妊娠の仕組みを十分に知らなかったことが明らかになった。

 女性は7歳で軽度の知的障害があるとわかり、小学2年で特別支援学級に移った。高校は特別支援学校に進み、卒業後は障害者枠で中古書店に就職。自立した生活を送っていた。

 男児は、18年から交際する同僚男性との間にできた。男性にも知的障害があり、互いに性的知識に乏しいまま避妊をせず性行為をしていた。

 被告人質問ではこんなやりとりがあった。

 弁護人「どうやったら妊娠するか知っていますか」

 女性「……」

 弁護人「性交渉という言葉の…

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2023年6月23日9時39分 投稿
    【視点】

    先日国際NGOプラン・インターナショナルのイベントに登壇したのですが、登壇いただいた性教育YouTuberのシオリーヌさんから、子育てをしている女性から避妊について質問を受けたという話を聞きました。妊娠・出産をされた方でも避妊について知らな

    …続きを読む