ワグネル「バフムート完全支配」、ロシア国防省も「解放」を宣言

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玉川透=ブリュッセル 喜田尚
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 ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートをめぐり、この地でロシアの主力だった民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏は20日、バフムートを完全に支配したとの声明を出した。ロシア国防省も「解放を完了」と宣言。プリゴジン氏はワグネルが25日から撤退を始め、バフムートを正規軍に引き渡すとしている。

 プリゴジン氏はSNSに投稿した動画の声明で「ワグネルだけでバフムートを制圧した」と強調。国防省は「正規軍の砲撃・航空支援を受けたワグネルによって解放された」とした。ロシア国営ノーボスチ通信によると、プーチン大統領はワグネルと正規軍の両方を「称賛した」という。

 これに対し、ウクライナ軍は、バフムートが完全制圧されたことを否定。広島を訪れているウクライナのゼレンスキー大統領は21日、「バフムートはきょうの時点では占領されていない」とする一方、「(バフムートは激しい戦闘で破壊され)何も残っていない。悲劇だ」とも語った。

 バフムートをめぐる戦闘は昨夏から続き、双方が多くの死傷者を出した。ワグネルはロシア各地の刑務所から恩赦と引き換えに募った受刑者の戦闘員を大量に投入。今年に入ってウクライナ東部の周辺都市の制圧を進め、3月末には市内に侵入して95%を支配したとしていた。

 プリゴジン氏は今後について、バフムートの実効支配は正規軍に任せてワグネルの部隊を撤退させ、休息と新たな任務に備えた準備に入るとした。同氏はこれまで必要な武器・弾薬が与えられないとして国防省、軍を激しく批判。郊外の守備に就いた正規軍の一部が後退すると「逃走だ」「バフムートが包囲される」などと非難していた。

 バフムートはドネツク州の交通の要所。しかし、激しい消耗戦に米国は戦略的価値は高くないとしてウクライナに一時撤退を勧めたとされるが、ウクライナ軍はロシア軍の消耗を狙って防衛戦を継続していた。

米シンクタンクの分析は

 バフムートの制圧が事実なら、ロシア軍にとっては久々の戦果となる。ただ、米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は20日、「たとえ(制圧が)事実でも純粋に象徴的なものだ」との分析を公表した。

 バフムートの周辺はウクライ…

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