【詳報】招待国交えた会合開始 ジェンダー平等での首相発言に注目

【動画】18日の日程を終え、記者の質問に応じた岸田文雄首相=小木雄太撮影
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 主要7カ国首脳会議G7サミット)が19日、広島で始まりました。21日までの日程です。ウクライナ情勢から生成AIへの対応まで、幅広いテーマが話し合われる見込みです。被爆地での開催で、核軍縮に向けた議論に進展があるかも注目されています。会議の動きや首脳の発言などをタイムラインで速報します。

(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)

■■■5月20日(日本時間)■■■

15:20

招待国を交えた会合開始 ジェンダー平等での首相発言に注目

 広島で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)は20日午後、G7首脳に加え、今年のG20議長国のインドや、ASEAN議長国のインドネシアアフリカ連合のコモロなど招待国8カ国も交えた拡大会合に移った。

 食料安全保障や保健、開発、気候変動など地球規模の課題について議論する。ロシアによるウクライナ侵攻で、新興国途上国では食料の安定供給への不安が高まっていることから、成果文書をまとめる予定。G7による新興国・途上国への協力姿勢を打ち出したい考えだ。

 会合では日本の遅れが指摘されるジェンダー平等についても議論する。岸田文雄首相がどのような発言をするのかも注目だ。国際団体「世界経済フォーラム」が経済、政治、教育、健康の4分野で男女差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は2022年、G7で最下位だった。今回G7の招待国を含めても、韓国、ブラジルオーストラリア、インドネシア、ベトナムより低い。

14:35

サミット2日目、「後半戦」スタート 招待国加えた拡大会合など予定

 岸田文雄首相は20日午後、広島で開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の招待国の首脳らを会場のホテルで出迎え、サミットは「後半戦」に入った。招待国との拡大会合を開き、ロシアのウクライナ侵攻後の食料危機に関する成果文書の策定をめざす。気候変動や開発、保健などの課題も協議する。

 招待国は、豪州、ブラジル、アフリカ東部のコモロ、太平洋地域のクック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナムの8カ国。国連や国際通貨基金(IMF)など七つの国際機関も加わる。

 招待国には「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国が多い。G7が主導するロシア制裁と距離を置き中立的な立場をとる国が多いため、関係深化を図りたい考えだ。グローバルサウスの「代表格」とされるインドやブラジル、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のインドネシアとベトナムは対ロ制裁に加わっていない。

14:05

経済安保めぐる共同声明 「経済的威圧」に対抗で一致

 G7(主要7カ国)首脳が「経済安全保障」について議論し、首脳声明を発表した。資源の輸出制限をかけるなどして他国に圧力をかける「経済的威圧」に「深刻な懸念」を表明し、対抗する考えで一致。対応を強化するための新たな仕組み作りを進めていくことを確認した。

 G7サミットで経済安保に特化した首脳声明を出すのは初めて。声明では、特定国の名指しは避けたものの、「エネルギーその他の経済的依存関係を武器化する最近の事案から教訓を得て、我々はそのような行為に断固として反対する」と明記。そのうえで、「重要鉱物、半導体および蓄電池などの重要物資について、世界中のパートナーシップを通じて、強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を構築していく」と強調した。

 経済的威圧については、「威圧的な経済的手段の使用を抑止し、それに対抗するため、既存の手段を活用し、その効果を検証していくとともに、必要に応じて新たな手段を開発していく」と記した。

13:00

ジェンダー平等や性的マイノリティーの人権保護をG7首脳へ市民がアピール

 主要7カ国首脳会議(G7サミット)の成果文書に、ジェンダー平等や性的マイノリティーの人権保護も含めてほしいと、広島市中区で20日午後、市民団体のメンバーがメッセージ板を掲げてアピールした。

 「No Rights, No Life(人権は命)」「My Body My Choice(私のからだは私のもの)」――。

 一人ひとり異なる14種類のメッセージ板を持ち、日本語と英語で読み上げた。

 性的マイノリティーへの差別禁止などを求めるグループ「Pride7(P7)」で日本実行委員の松中権さん(47)は、「トランスジェンダーの人権が重要だ!(Transgender Lives Matter!)」と訴えた。

12:44

ミシェルEU常任議長「G7はアフリカ連合のG20参加を支持」

 EUのシャルル・ミシェル首脳会議常任議長は、グローバルサウスをめぐるセッションのあと、自身のツイッターに「G7はアフリカ連合のG20(主要20カ国・地域)への参加を支持する。大きな前進だ」と投稿した。

 アフリカ連合(AU)は、アフリカ55の国・地域が加盟する世界最大級の地域機関だ。

 また、EUのホームページによると、フォンデアライエン欧州委員長はこのセッションで、グローバルサウスの国々が中国からの融資によって危機に陥ったと述べ「協力してくれる新興国に対して、ウィンウィンのパートナーシップを提供するべきだ」と話した。

12:18

首脳ら、イタリアの洪水に「あらゆる支援を」

 大きな被害が出ているイタリア北部の洪水について、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席している首脳が20日、相次いで連帯や支援を表明した。

 欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長はツイッターに「イタリアの洪水で起きた悲劇的な人的被害について、メローニ首相に心からのお悔やみを伝えました。私たちの思いは犠牲者やその家族、最前線で働く人たちとともにあります」と述べた。

 マクロン仏大統領も「すべてを失った犠牲者とその家族に思いを寄せます。フランスはあらゆる有効な支援をする用意があります」と表明。カナダのトルドー首相も「甚大な洪水に見舞われたイタリア北部の情報と映像に胸が痛みます」とツイッターに投稿した。

 伊メディアによると、イタリア北部エミリアロマーニャ州では17日、大雨による洪水が広い範囲で発生した。18日までに14人が死亡し、今もなお1万5千人が避難を続けている。

11:51

G7首脳ら、午前の討議終え集合写真

 広島で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、2日目となる20日午前の討議を終えたG7首脳らは正午前、会場のホテルで記念撮影に臨んだ。その後のワーキングランチ形式では、重要物資のサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化や、巨額の貸し付けや資源を背景にした経済的威圧など、経済安全保障について話し合う。

 午前の討議では、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国との連携強化について議論した。午後には、インドやインドネシアといったグローバルサウスを含む招待国を交えた拡大会合を開き、食料危機や気候変動などの課題について議論する。

11:30

メディアセンターで被爆者が講演

 広島市内のメディアセンターで、被爆者の山本定男さん(91)が報道関係者に被爆体験を語った。フランスやイタリアなどの海外メディア4社を含む25人が集まり、耳を傾けた。

 山本さんは14歳の時、爆心地から2・5キロの東練兵場(広島市東区)で被爆した。当時、県立広島第二中の2年生。爆心地付近で、空襲による延焼を防ぐために建物を壊す作業をしていた下級生は300人以上が全員死亡した。

 山本さんは被爆直後に見た、上半身が白骨化した遺体や皮膚を焼かれた女性の姿などを証言。白血病やがんを引き起こし、いまも被爆者を苦しめている放射能の影響を語った。

 フランス出身で、同国とスイスのメディアで特派員をしている西村カリンさん(52)は、「母として、子どもが自分の目、肌で経験することがいかに苦しいか分かる。広く世界に伝えていくことが大切だと感じた」と話した。

 メディアセンターでの被爆講話は計3回。20日午後2時と、21日午後5時にも予定されている。

11:15

「『核兵器のない世界』めざし集う」 G7首脳らの記帳内容を発表

 日本政府は20日午前、主要7カ国(G7)の首脳らが19日に広島平和記念資料館を訪問した際、「芳名録」に記帳した内容を発表した。

 【岸田文雄首相】

 歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う

 【フランスのマクロン大統領】

 感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。

 【米国のバイデン大統領】

 この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!

 【カナダのトルドー首相】

 多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。

 【ドイツのショルツ首相】

 この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。

 【イタリアのメローニ首相】

 本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕(りょうが)するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。

 【英国のスナク首相】

 シェークスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光(せんこう)に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。

 【欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長】

 80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいのか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。

 【EUのフォンデアライエン欧州委員長】

 広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。

10:30

ICAN事務局長、「核軍縮首脳ビジョン」は残念な内容

 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のダニエル・ホグスタ事務局長が朝日新聞のインタビューで、19日夜に出された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」について「核軍縮に関して何ら新しい具体的なビジョン(展望)が含まれていない。残念な内容だ」と批判した。

 「最も問題なのは、被爆者に会った首脳たちが、その後で防衛目的のための核兵器の役割に言及し、核兵器を使う権利の重要性を認めている点だ」

 ビジョンでは「核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づく」との記述がある。

 「核兵器の使用はその性質上、無差別で甚大な被害を生む。新たなヒロシマを生じさせることになる。人道国際法上、防衛目的でも使える兵器ではない」

10:10

G7広島サミット2日目スタート

 広島市で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)は20日午前、2日目の議論がスタートした。

 午前10時すぎから、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国への関与強化について議論。グローバルサウスには中国やロシアから軍事・経済的に支援を受ける国も多い。G7は、これらの国々を引き寄せたい考えがある。

 日本外務省によると、岸田文雄首相は会合で、「G7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化し、これらの各国が直面する様々なニーズに応じてきめ細やかに対応するアプローチをとることが重要だ」と述べた。G7広島サミットの成果を今後のG20(主要20カ国・地域)との連携につなげていきたいとも語った。

 G7首脳らは、こうした「パートナー」の国々と法の支配の重要性を共有していくことで一致。また、途上国の経済的効果につながる枠組みの構築や、昨年G7が立ち上げた「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」(PGII)による支援などを通じ、きめ細かに対応することでも一致した。

 今回のサミットには、グローバルサウスの「代弁者」を自認するインドや、ブラジル、インドネシアなどが招待されている。20日午後から議論は招待国も交えた拡大会合に移る。

10:07

ブラジルのルラ大統領「日本とのパートナーシップ拡大、重要」 SNSに投稿

 主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待国として参加するブラジルのルラ大統領は20日、岸田文雄首相との会談後、「私たちのパートナーシップの拡大は、両国の成長にとって重要となる」とツイッターに投稿した。

 ルラ氏は会談について、「両国の起業家や企業間の関係を回復し、拡大する必要性について話した」と報告。日本との関係については「私たちは日本と文化的なつながりがあり、大きな日系ブラジル人コミュニティーもある」とつづった。

09:30

米、ウクライナのF16戦闘機訓練を支援へ

 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は20日、広島市での会見で、バイデン大統領が19日、G7サミットに参加している首脳らに対し、F16戦闘機のためにウクライナの兵士を共同で訓練することを支援する、と伝えたことを明らかにした。

 米政権は、欧州の同盟国などが米国製のF16戦闘機をウクライナに提供することを認める。ウクライナは以前からF16など欧米製戦闘機の供与を求めてきた。米国はこれまで、戦闘機の優先順位は低いと主張してきた。サリバン氏は「長期的な取り組みのため、ウクライナ空軍の能力向上についての議論に目を向けた」と説明した。近く予想されるウクライナ軍による反攻作戦には間に合わない見通しだ。

 またサリバン氏は20日のG7サミットでの経済安全保障の協議について、中国の経済的威圧を念頭に、先端技術の保護などの対応を協議すると説明。声明では、「各国はそれぞれの対中政策を持つが、我々の取り組みは共通しており、中国に対する重大な懸念に対処することを示す」との見通しを示した。

09:30

平和公園そばにガンジー像設置 インドが寄贈

 広島市で開催されている主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて、インド建国の父と呼ばれるマハトマ・ガンジーの胸像が、平和記念公園そばの元安川東側河岸緑地に設置され、20日に除幕式が開かれた。

 像は銅像で、インド側から広島市に寄贈。この日の式典には、G7サミットに招待されたインドのモディ首相や広島市の松井一実市長らが出席した。

 モディ氏は「ガンジーの平和と調和への理想は、世界中に響き渡り、何百万もの人に力を与える」とツイッターに投稿した。

 インド外務省も声明を発表し、「平和と非暴力のための連帯を象徴する場所。ガンジーの信念や人生は、世界やその指導者たちを奮い立たせる」と訴えた。

09:15

ゼレンスキー大統領がサミットに対面参加 日本政府も発表

 政府は20日午前、ウクライ…

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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2023年5月31日14時38分 投稿
    【視点】

    ・・・首相・首脳が「参拝」してよい宗教施設とは? G7広島サミットが閉幕し、少したつ。成果については、もちろんさまざま議論があるだろう。ところで、5/19に宮島の厳島神社・大鳥居の前で首脳が一列で納まった写真を、多くの人が目にしたので

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