米銀3行、異例の連続破綻 ビジネスモデルが違っても「弱点」は共通

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ニューヨーク=真海喬生 ワシントン=榊原謙
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 米中堅銀行ファーストリパブリック・バンクが1日、経営破綻(はたん)した。米銀の破綻は今年3行目だ。テック企業、暗号資産(仮想通貨)、富裕層と、得意とする業界や顧客層はばらばらだった3行。だが、ある共通の「弱点」を抱えており、それが異例の連続破綻につながった。

 「預金口座数は、平均的な米銀の約5分の1」

 ファースト銀は今年1月に公表した決算発表資料に、こんな一節を入れた。

 富裕層向けビジネスを展開してきたファースト銀。同じような資産規模の他の銀行に比べて口座数が少ないため、その分、顧客と「長期的で深い関係」を築ける、とアピールしていた。行員の勤続年数も業界では長く、顧客との継続的な関係も売りだった。

 ニューヨークにあるファースト銀の支店にはソファが並び、行員とゆっくりと相談できるスペースが確保されている。

 顧客一人ひとりに合った資産運用などを提案する業務は「プライベート・バンキング」と呼ばれ、銀行界では成長分野だ。

 同行の預金はここ3年で2倍に急増。貸し出しも年20%を超えるペースで拡大していた。

 しかし、結果的にこの成長分野に特化したビジネスモデルがあだとなった。

 資産規模の割に口座数が少な…

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    加谷珪一
    (経済評論家)
    2023年5月1日18時57分 投稿
    【視点】

    破綻した各行は、他の一般的な銀行に比べ、顧客層が特異であり、預金の急激な引き出しが起こりやすい状態でした。背景に急ピッチな金利上昇があるとはいえ、金融システム全体の問題ではないと認識されているのはこうした理由からです。  しかしながら

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