「黄色い線」から「点字ブロック」に 障害ある駅員が変えた呼びかけ

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吉村駿
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 昨年11月。JR高崎駅の在来線ホームに流れる駅員のアナウンスが変わった。

 「黄色い点字ブロックまでお下がりください」

 電車到着時に、ホームで待つ客への注意をうながすアナウンス。以前は「黄色い線までお下がりください」と伝える駅員もいたが、みんなが「点字ブロック」と言うようになった。

 きっかけは、視覚障害があるJR東日本高崎支社の竹内雄亮さん(27)の呼びかけだった。

急に視野が欠けたあの日

 竹内さんは約4年前から高崎駅で経理の仕事をしている。

 突然、目に異変が現れたのは中学2年の夏だった。

 その日のことは忘れられない。高崎市内の中学のサッカー部に所属していた。練習中に急にボールがぼやけて見え始め、仲間のパスに反応できなかった。運動場にある大きな時計の文字盤の数字も読めなかった。

 「急に近視になったのかな」と思ったが、見え方は戻らない。眼科に行き、眼鏡を作った。

 次第に症状は悪化した。視野の中心に白い穴が見えるようになり、黒板の文字が読めなくなった。

 その年の冬。群馬大学病院(前橋市)で精密検査を受け、急激に視力が低下する難病「レーベル病」だと分かった。医師からは「治療法はありません」とだけ告げられた。

 もう治らないと思うと気分が落ち込んだ。学校も部活も休みがちになり、家でふさぎこむことが増えた。

 しかし、卒業間際に転機が訪れた。

 受験予定だった県内の高校を…

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この記事を書いた人
吉村駿
東京社会部
専門・関心分野
事件・事故、スポーツ、生き物