笑われた過去、思い出した人も 人気番組に抗議した吃音協会に聞く

有料記事

聞き手・沢伸也 申知仁

 吃音(きつおん)のある芸人インタレスティングたけしさんをめぐる「炎上」のきっかけになったのが、日本吃音協会によるTBSへの抗議でした。SNSでは抗議に賛同する声がある一方、「吃音者はテレビに出られないのか」という反発もありました。藤本浩士理事長は「『吃音者を扱わないで』という趣旨ではない」といいます。では、なぜ抗議したのか。真意を聞きました。

【連載】吃音芸人 炎上騒動と“話す”ということ

吃音者が笑わせた? 笑われた? テレビの炎上騒動を通じて考える「話す」ことの意味を探す連載です。

「どもるところを面白おかしく見せている」

 ――去年7月、「水曜日のダウンタウン」で吃音の芸人がドッキリにかけられる企画が放送されました。協会はなぜTBSに抗議したのでしょうか。

 (放送は)ツイッターでの議論を通して知り、協会の会員に番組の動画を見せてもらいました。

 抗議したのは、吃音の子を持つ家族からのメッセージがきっかけです。「自分の子どもが番組を見ていて、嫌な気持ちになった」「学校で友達に『水ダウに出ていたあいつみたいなしゃべり方をしている』と言われた」など、番組を見て傷ついた人たちの声が協会に届きました。

 ――番組の問題はどこにあると捉えましたか。

 (一定の人たちに)「どもるところを面白おかしく見せている」と感じさせる番組をつくった、という点です。

 具体的には、インタレスティングたけしさんがどもってしまうところで、スタジオでは「こいつ、おかしなやつやな」といった発言や、スタジオ全体で爆笑がありました。吃音を笑っていたのではないかもしれないですが、当事者からすると、やはり自分が笑われたり、変な目で見られたりした経験がフラッシュバックしてしまう。

 ――TBSからの回答は。

 「番組の制作段階でもっと考えていく」と、謝罪と回答をいただきました。こちらからは、「吃音者を扱わないでくれ」という抗議ではない、という話もしました。

 ――どのような改善を求めますか。

 協会は、吃音への認知や吃音者の地位向上を目指しているので、番組で(当事者を)どんどん使ってほしいと考えています。

 ただ、見せ方が重要です。「吃音があっても、こうやって頑張っている人がいるんだ」と、みんなの希望になるような方法。こちら側の意見だけでいうと、例えばそういった見せ方をした上で、お笑いの要素を入れてほしいと思います。

開けるのも嫌になるようなメッセージが

 ――協会が抗議した後、SNSではさまざまな意見が出ました。賛同がある一方、「そもそも抗議すること自体が差別では」という意見もありました。

 「吃音者をいじるな」ではな…

この記事は有料記事です。残り2211文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
申知仁
コンテンツ編成本部|編集者
専門・関心分野
紙面編集、ニュースレター、動画