DNA、読み出し多い領域の通説に一石 液体のようにゆらぎつつ凝集
体の細胞の核の中に納まっているDNA。その直径は2ナノメートル(ナノは10億分の1)で、長さは2メートルもある。直径4センチのゴルフボールに長さ8キロの糸を詰め込んでいるようなものらしい。
ただ、ぎゅうぎゅうに詰め込むだけではだめだ。DNAに書き込まれた遺伝情報は必要な時に読み出されなければならない。従来、読み出しが多い領域は、詰め込みがほどけたような状態になっているのだろうと考えられてきた。
DNAはたんぱく質に巻きつき「ヌクレオソーム」という構造をとる。さらにそれらが折りたたまれている。遺伝情報が読み出される領域では、この折りたたみがゆるく伸び、読み取りに必要な分子がくっつきやすくなっているというわけだ。しかし、観察されたわけではない。
実際はどうなっているのか?
国立遺伝学研究所の前島一博教授らのグループがなぞの解明に取り組んだ。特殊な顕微鏡で、生きた細胞の中のヌクレオソームの動きを観察した。伸びているはずの領域でも、ヌクレオソームどうしはくっついて、不規則に凝縮した塊になっているとわかった。
ところが、細かく見ていくと、塊の中では、ヌクレオソームが動き、液体のようにゆらいでいると突き止めた。こうした動きがあれば、DNAの読み出しや修復などの反応が効率よくできると考えられた。
塊になるメリットは、放射線…
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