ラオス中国鉄道、旅客輸送スタート 訪問客増で経済効果に期待

バンコク=翁長忠雄
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 ラオス首都ビエンチャンと中国雲南省昆明を結ぶ鉄道の、国境を越える旅客輸送が13日から始まる。ラオスのビエンチャン・タイムズなどが伝えた。2021年12月に開通したが、これまで国境を越える輸送は貨物のみだった。ラオスでは中国からの観光客の増加による経済効果に期待が寄せられている。

 国を越える旅客輸送は中国の新型コロナ対策などのため見送られ、中国区間、ラオス区間に分けて運行していた。中国メディアによれば、中国区間の乗客数は開通から今年1月までに870万人、ラオス区間は160万人とされる。

 同鉄道のラオス区間約422キロは建設費も技術も大部分を中国に依存しており、将来的に、外交や経済面で中国の圧力に屈する「債務のわな」に陥るリスクが指摘されている。

 だが国内に長距離鉄道がなかったラオスにとっては、鉄道の開通は建国以来の悲願だった。列車に乗ってみたいという市民は多く、乗車券を手に入れるために何時間も並ぶ必要があった。今年3月に利便性向上のために乗車券の予約や購入ができるアプリが導入された。

 ラオスメディアによれば、ラオス区間の今年1~2月の乗客数は約41万7400人で昨年同期の2・5倍余に増加した。これまで外国人の乗客はタイ人が目立っていたが、中国からの乗り入れで今後は中国人の大幅な乗車需要が見込まれ、ラオスの観光業界などは期待を寄せている。

 ただ当面の国境越え運行は昆明―ビエンチャン間の双方向で1日1本ずつ。国境で列車から降りる必要がある出入国手続きを含めて約10時間半で結ぶ。(バンコク=翁長忠雄)

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