ドクターマーチン類似品に販売差し止め命令 「黄色いステッチ」根拠
「黄色いステッチ」のブーツが定番の英国の「ドクターマーチン」が、類似品を扱っていた千葉県の会社に販売の差し止めなどを求めた訴訟で、東京地裁が3月、被告会社に差し止めや製品の廃棄を命じる判決を言い渡した。
ドクターマーチンのブーツは、大きな特徴の一つが黄色の「ウェルトステッチ」だ。足の甲を覆う革と、靴の周りを縁取るウェルト(細革)の縫い合わせに黄色の糸が使われている。
マーチンは、1960年から扱う主力ブーツ「1460」の黄色のステッチについて、「糸をあえて表面に露出させ、ウェルトに黒、ステッチに明るい黄色の組み合わせを使用してはっきり視認できる」のは、自社独自の特徴だと主張。不正競争防止法に基づき、似た特徴を持つ靴の販売差し止めなどを求めた。
地裁は、マーチンの主張を認め、「一つ一つの縫い目(の長さ)が比較的長く露出している」とも指摘した。1460を国内で発売した85年以降、同様の形態の他社製品が販売された例は確認できず、「マーチンが継続的、独占的に使用してきた」と認めた。
この特徴は、広告や雑誌、SNSでの商品紹介でも確認でき、マーチン独自のものとして周知されていると判断した。似た特徴を持つ靴の販売は、混同を生じさせる行為だとも認め、マーチンの営業上の利益の侵害にあたる、と判断した。(田中恭太)…