台湾総統と下院議長の米西海岸会談 背景に「誰も望まない」シナリオ

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ワシントン=清宮涼
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 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統が5日、マッカーシー米下院議長と米西海岸ロサンゼルス郊外で会談しました。今回の会談は米国、台湾、中国にとってどのような意味を持つのでしょうか。米台関係や中台関係に詳しい米ペンシルベニア大のジャック・デリール教授に聞きました。

Jacques deLisle ペンシルベニア大教授。現代中国の政治や法、中台関係や米台関係に詳しい。米シンクタンク、外交政策研究所で、アジアプログラムのディレクターも務める。

ペロシ前下院議長の訪台との違い

 ――米台間に公式の国交はありませんが、蔡英文総統は、台湾が外交関係を持つ中米のグアテマラなどを訪れる途中で米国に寄り、会談しました。中国はどう反応するでしょうか。

 台湾の総統が、外交関係のある国を訪れる際の経由地として米国を訪れるのは、決して珍しいことではありません。米国にとっては、正式な訪問ではなく、政府同士の関係を示すものではない、と説明することができます。

 蔡氏が総統になってからの約7年で、中国の態度は厳しさを増しています。昨年8月に当時のペロシ米下院議長が台湾を訪れた際には、中国は猛反発し、軍事演習を行う口実としました。米国において下院議長は大統領の継承順位が2位の高位であるためです。

 ただ、今回は、昨年とは異な…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2023年4月6日9時46分 投稿
    【解説】

    デリール教授とは10年ほど前に彼の編集する馬英九政権の台湾に関する英文書籍のメンバーに加えていただき、ご一緒しました。非常にクリアな分析、張り巡らされているネットワークに驚いた記憶があります(ちなみに、会議は香港で行われ、米中台欧から10名

    …続きを読む