磐越西線が8カ月ぶりに全線再開 昨夏の豪雨で橋崩落

斎藤徹
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 昨夏の豪雨災害で被災し喜多方―山都間(福島県喜多方市)の9・9キロが不通になっていたJR磐越西線が1日、約8カ月ぶりに全線再開した。復旧した鉄橋を渡る列車を、周辺住民が手を振って歓迎した。

 昨年8月3日に会津地方を襲った豪雨では、水量が増した影響で全長252メートルの濁川橋梁(きょうりょう)が崩落。喜多方―野沢(西会津町)間が不通になった。同月25日には山都―野沢間で運転が再開されたが、喜多方市や会津若松市へ通勤通学や通院で使う人たちは時間がかかる代行バスを利用していた。

 全線再開した1日、濁川橋梁周辺や喜多方・野沢両駅では、全線再開した鉄道を走る列車を、自治体関係者や地域住民らが手を振って歓迎した。

 JR喜多方駅前では記念式典があり、遠藤忠一市長が「生活の足として欠かすことができない鉄道が復旧したことは喜ばしい限りだ。観光路線や災害時の迂回(うかい)ルートとしても重要な磐越西線を、今後も発展させていきたい」と述べた。

 実家がある新潟に通うため磐越西線をよく利用するという喜多方市の小椋慶子さん(82)は「代行バスは乗り換えが大変だった。不通になって鉄道のありがたさがよくわかった。廃線になったら困るので、たくさん利用したい」と話した。

 復旧工事では、鉄筋コンクリート製の橋脚1基を新造。崩落した橋桁は耐久性に問題がないことなどから架け直した。復旧費用は約15億円の見込みで、JR東日本のほか県や沿線自治体も負担する。

 磐越西線は郡山と新津(新潟市)を結ぶ全長175・6キロ。被災前から乗客減が進み、営業赤字額が膨らんでいる。全線再開後、県や沿線自治体はJR東と連携しながら利用促進に向けた協議を進める。(斎藤徹)

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