JR赤字路線、誘客目指す 「ローカル線活性化検討会議」立ち上げ

根津弥
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 JRの赤字路線の利用促進策を話し合う宮城県の「ローカル線活性化検討会議」が27日、発足した。対象となるのは、陸羽東線、石巻線、気仙沼線の3路線。誘客に向けて沿線自治体や観光団体などの議論を促し、各自治体などの事業につなげたい考えだ。

 検討会議には県と沿線自治体の担当者、商工・観光団体が参加し、JR東日本国土交通省もオブザーバーで加わる。各路線について「地域住民の日常生活を支え、観光・物流の観点からも欠くことのできない重要な社会基盤」と位置づけた。

 会議の冒頭、千葉章・県企画部長は「必要な取り組みを議論し、県全体としての方向性を求めていきたい」とあいさつ。その後の協議は非公開で行われた。

 県地域交通政策課によると、大崎市による陸羽東線の利用促進に向けた検討会議などの取り組みが紹介されたという。今後、各路線ごとの会議を5~7月に開いて、2024年度の事業の方向性を夏に取りまとめる方針だ。

 JRの赤字路線をめぐっては、国交省の有識者会議が昨年7月、1キロあたりの1日平均乗客数(輸送密度)が「1千人未満」を目安に、あり方を見直すよう提言した。

 JR東も地方路線の収支を初めて発表し、一部の自治体との協議に着手。県内では陸羽東、石巻、気仙沼、大船渡の4路線について21年度の赤字額が明らかになった。

 発表によると、陸羽東線の古川(大崎市)―鳴子温泉(同)は11億500万円、石巻線の小牛田(美里町)―女川(女川町)が11億2千万円、気仙沼線の前谷地(石巻市)―柳津(登米市)が2億1400万円だった。

 特に、陸羽東線の鳴子温泉―最上(山形県)では、100円の収入を得るのにかかる費用を表す「営業係数」が2万31円とJR東管内でも最も厳しい状況だ。

 大船渡線については岩手県が協議を主導しており、今回の検討会議の対象からは外れた。(根津弥)

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