中央アフリカを平和に?「救世主ロシア」の評判 見返りは金やダイヤ

有料記事

バンギ=遠藤雄司
[PR]

 顔の下半分をスカーフで覆い、帽子を目深にかぶった屈強な白人の男がピックアップトラックの荷台に立ち、対向車線をすれ違っていく。男の前には機銃が据え付けられていた。

 「ロシア人だ」

 取材に同行する男性コーディネーターは声を潜めてつぶやくと、こう続けた。

 「写真は撮るなよ。ばれたら俺たちの命はない」

 昨年11月初旬、中央アフリカの首都バンギを訪ねた。世界で最も貧しい国の一つとされ、首都でさえ未舗装の道路が目立つ。治安も決して良いとはいえないこの国で、銃を手に活動する外国人は何者なのか。

 「軍事顧問だ」。地元住民らはそう話す。

 軍事顧問は両国間の合意により、中央アフリカ軍の訓練のためロシアから派遣されてきた。

 それだけではない。

 軍事顧問に紛れて、ワグネルの戦闘員らが暗躍している――。両政府は否定するが、フランス欧州連合(EU)、米国などはそう指摘してきた。

 ワグネルはプーチン大統領の側近が創設した民間軍事会社だ。刑務所の囚人を戦闘員として募るなど、手荒な手法でウクライナ侵攻にも参戦。破壊活動や拷問などの深刻な人権侵害を起こしたとして、EUから制裁を受けている。欧米では悪名高い存在だ。

 ところが、ロシア兵やワグネルに対するバンギ市民の評判はまったく異なる。

 「救世主」と評する声すらあるという。

 いったい、どういうことなのか。

続く内戦、ロシアがもたらしたものは

 「ロシアが来てから、平和が…

この記事は有料記事です。残り2589文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
遠藤雄司
国際報道部・業務担当次長
専門・関心分野
アフリカ情勢、紛争、災害、事件
  • commentatorHeader
    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2023年2月10日12時22分 投稿
    【解説】

    1960年代から70年代にかけて、ソ連は長く欧州の植民地だったアフリカ諸国の独立を支援し、社会主義陣営に取り込もうとしました。今またロシアはアフリカ諸国への影響力を強めようとしています。 象徴的だったのが2019年に開かれた第1回ロシア・

    …続きを読む