欧州で広がる「飛び恥」、文化芸術界にも 仏文化機関トップに聞く
環境問題への関心が世界的に高まるなか、文化芸術関係の活動に温暖化対策を盛り込む動きが欧州で広がっている。先日来日したフランス政府公式の文化機関、アンスティチュ・フランセ(本部パリ)のエヴァ・ニェン=ビン理事長に聞いた。
外交官の経歴が長く、フランスの駐カンボジア大使などを経て2021年に理事長に就任した。対外文化活動の担当大使も兼務する。アンスティチュはフランス語講座やフランス発の文化、思想、学問などの文化活動を発信する公的組織で、日本には支部として東京日仏学院やヴィラ九条山(京都)などがある。
本部のトップとして、環境問題を戦略的に採り入れた。「フランスでは、あらゆる文化施設や芸術家がこの問題について議論している。それなのに(公的機関である)アンスティチュは何もしてこなかった。ごみの分別やリサイクルはフランス国内でもまだまだ改善の余地がある」
組織内で有志を募り、ロードマップを作成した。環境問題に関する研修を進め、年内に環境対策を強めた新本部に移転する。劇場や芸術家、地方自治体、全世界のアンスティチュ支部と取引先にも協力を要請。人々の関心をさらに高めるための広報戦略などを3年間で実行する。
短距離での飛行機利用自粛も具体策の一つ。「6時間以内の移動、出張なら鉄道を使う。移動時間が増えるなか私自身、日程の組み立て方を変えました。ある劇団はより先鋭的で、欧州内での飛行機移動を禁止しています」
フランスは昨年、脱炭素を理…
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