年越しにもミサイル攻撃、士気くじく狙いか キーウ滞在の記者が負傷

【動画】ミサイル着弾直後の映像=関田航撮影
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 ウクライナの首都キーウを中心とするウクライナ中部で12月31日から1日未明にかけ、ロシア軍によるミサイルやドローン(無人航空機)での攻撃が相次いだ。市民を標的にした攻撃をあえて年越しに繰り返すことで、国民の士気をくじく意図があったとみられる。

 キーウでは12月31日の日中、複数の地区の住宅などにミサイル攻撃があり、市当局によると1人が死亡、22人が負傷した。朝日新聞の記者2人が滞在する中心部のホテルも直撃を受け、映像報道部の関田航記者(36)が足に軽いけがを負った。

 ミサイルはキーウのほか中西部ジトーミル州やフメリニツキー州にも飛来した。戦略爆撃機などによってウクライナの領土外から発射されたとみられる。ウクライナ軍は20発以上のミサイルのうち12発の迎撃に成功したとしている。

 キーウは深夜にも再び攻撃を受けた。攻撃は1日午前0時の年越しとほぼ同時に始まり、市当局によると、ミサイル、ドローンなど計32発の「飛来物」を軍が迎撃したものの、市中心部や南部で爆発音が響き、迎撃されたミサイルやドローンの破片が住宅や駐車中の車を直撃した。未明の空襲警報は約4時間にわたって続いた。けが人はいなかったという。

 深夜の攻撃は、ゼレンスキー大統領がテレビでの新年あいさつで「勝利以外の選択肢はない」と訴えた直後に始まった。ゼレンスキー氏は「新年を帰還の年にしよう」と述べて「兵士たちは家族の元へ、捕虜たちは彼らの家へ。避難民たちは彼らのウクライナへ。占領された我々の土地は永遠に自由になる。我々は、外出禁止令や空襲警報のない普通の、幸せな、喜びに満ちた生活に戻ろう」などと呼びかけていた。

 ウクライナではロシアによる昨年2月の侵攻開始以来、キーウなど多くの都市部で夜間の外出禁止令が続く。SNSでは1日午前0時と同時に高層住宅で家々から「ウクライナに栄光を」などの人々の声が響く映像が拡散していた。

 ロシアのプーチン大統領は1日午前0時の直前に新年のあいさつを放映。プーチン氏は兵士らに囲まれながら「歴史的に私たちの領土である、新しいロシアの地に住む人々を私たちは守っている」などと主張。一方的に併合を宣言したウクライナの占領地を死守する考えを強調した。戦死したロシア兵の家族に対しては、「兵士らの妻や子ども、真の英雄を育てた親がどんなにつらいか理解できる。心からの支援の言葉を受け取ってほしい」と述べた。

 映像は例年、モスクワのクレムリン(大統領府)を背景に撮影されるが、タス通信によると、今年はプーチン氏が31日にウクライナと隣接する南部軍管区の司令部を訪問し、現地で録画されたという。

現場にいたもう一人の記者は

 記者が滞在していたキーウ中心部のホテルでは、大みそかの31日午後2時前、曇天にポコポコと遠く爆発音が響いた。その後、大音響とともにホテルの窓ガラスが砕け散り、ホテル内部の天井板が崩落した。館内は視界が利かないほど粉じんが立ちこめ、警報音が響き続けた。

 映像報道部の関田航記者(36)は攻撃で飛び散った破片を受け、足にけがを負った。救急車が手配され、関田記者に付き添うためホテルの外に出て振り返ると、6階建てホテルの片隅が、上から下まで数部屋分が跡形もなく崩壊していた。

 地面は粉じんで灰色に染まり、1階にあったレストランのテラスの一部はがれきで埋まった。ホテルのスタッフは懐中電灯をかざして中に取り残された客を捜索していた。警察官や軍関係者らがすぐに駆けつけて滞在客らの無事を確認し、ホテル入り口には規制線が張られた。(キーウ=国末憲人)

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年1月2日15時41分 投稿
    【視点】

    実際に滞在しているホテルが攻撃された国末記者と関田記者によるリポート。遠くで起きている出来事ではなく、まさに「自分事」として感じる。リスクがある取材であっても現地に行き、迫真の報道を行うことは、この戦争の悲惨さと理不尽さを伝える最強の武器で

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