南ア大統領が辞任の窮地、強盗侵入で裏金疑惑が浮上 捜査も隠蔽か

ヨハネスブルク=遠藤雄司
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 南アフリカのラマポーザ大統領が窮地に追い込まれている。自身の別荘に強盗が入ったことをきっかけに裏金所持などの疑惑が浮上し、11月30日には国会の独立委員会が公表した報告書で憲法違反の可能性を指摘された。野党は強く辞任を求めている。一部メディアはラマポーザ氏が与党内でも支持を失い、近く辞任する可能性を報じている。

 委員会の報告書によると、2020年2月、同国北部にラマポーザ氏が保有する農場内の私邸に強盗が侵入し、ソファの中に隠されていた米ドルが盗まれた。この現金の出どころや額が疑惑の発端となった。

 ラマポーザ氏は、バファロー20頭を外国人に売った際の58万ドル(約7800万円)だったと釈明した。

 一方、報告書は、容疑者の一人が盗んだ額は80万ドル(約1億800万円)だったと証言しているとして、58万ドル以上が盗まれた可能性を指摘した。また、売却したはずのバファローが農場に残っていること、外国人が当局へ申告せず多額の現金を国内に持ち込んだこと、巨額の取引が現金で行われたことなどから、「この取引に関する多くの重要な疑問が残されている」とした。

 さらに、ラマポーザ氏が事件の発覚を恐れて強盗被害を警察に通報せず、権限のない大統領警護隊に内密に捜査を命じていたことも指摘された。報告書は、一連の行為が大統領の職務や義務に反しているなどとして、憲法違反にあたる可能性があるとした。(ヨハネスブルク=遠藤雄司

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