教団側に「突き動かされた」 意見書起草した自民市議がいま思うこと

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 宗教法人「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と地方議員は、どのように関わってきたのか。教団側の理念や「家庭教育の推進」「同性婚反対」といった主張に共感し、教団と付き合ってきたという自民党の小松良行・福島市議(60)=4期=がインタビューに応じた。

 ――最初の接点は。

 2007年に市議になる前、福島県PTA連合会長を務めた。その時に(教団の友好団体の)世界平和女性連合に所属する女性と知り合った。市議当選後、「市政報告をしてほしい」「ディスカッションしませんか」と連絡があり、女性連合の集まりに顔を出すようになった。

 当初は「平和活動をしているんだな」といった程度の認識だった。ある時、女性から(教団の)教会が福島市にあると知らされた。「昔は統一教会だったが、今は問題ないので安心して」と言われた。教団主催のイベントに行くようになり、「家庭を大事にする」といった理念や(反共産主義を掲げる)「勝共(しょうきょう)」運動に共感し、教団メンバーと良き友として付き合うようになった。

 ――選挙での関わりは。

 19年6月の市議選で(教団の友好団体の)世界平和連合から推薦状をもらった。教団側から「お手伝いすることはないか」と聞かれ、ウグイス嬢(車上運動員)1人を派遣してもらった。教団メンバーが「勝手連」で選挙カーの後続車に乗り、盛り上げてくれた。

 ――信者になるよう誘われたことはあったのか。

 19年ごろ、当時の福島市の教会幹部から「教会員になりませんか」と声をかけられた。その前段として、男性講師から3時間ほどマンツーマンで教団の歴史や理念を説明された。教団の理念には共感していたが、私は仏教徒でもあるので「遠慮します」と断った。

 「関連団体が出す刊行物を購読しないか」と言われ、世界日報を購読するようになった。市議会で共産議員と議論する際の理論武装の参考になる。

 ――教団側と政策で歩調を合わせたことはあるか。

 教団の講師と話した時、「家庭教育支援」や「青少年健全育成」の話題を出された。自民党が法案成立を目指している政策だ。県PTA連合会長を務めていたころから、教育学者の高橋史朗氏が唱える「親学」に傾倒し、家庭教育支援の必要性は認識していた。私は認定こども園の運営法人理事長という立場であり、保育系の団体でも、家庭教育支援は話題になっていた。

 教団側からも言われて、自分としては突き動かされるものがあった。家庭教育支援法の制定を求める意見書を起草し、(19年9月の)市議会で所属会派から提出し可決させた。

 後日、(教団の友好団体の)「天宙平和連合」から「平和大使任命状」を受け取った。(20年7月の)福島県平和大使協議会の設立総会であった記念講演では、福島市の意見書可決が取り上げられた。平和大使の任命は意見書の件が評価されたからだと思う。

 私は彼らの洗脳を受けて動いているわけではない。政治に対する考え方や教義が合致しただけだ。

 ――同性婚や夫婦別姓などの政策について話題に出たか。

 家庭の概念が揺らぐ大きな問題だ。推進の動きに対する危機感は、教団側と共有していた。教団側から市議会の動きを尋ねられ、状況を説明したこともある。特に同性婚関係は、全国的に同性パートナーシップ制度の導入が進んでおり、話題になることが多かった。

 ――教団との今後の関係は。

 私が付き合っていた範囲では、問題のあるカルト集団と感じたことはなく、(霊感商法などの)問題は過去の話だと思っていた。

 今後は、教団とは関係を持たないという党の方針に沿った行動を原則としたい。一方で、議員は宗教や思想信条にかかわらず、分け隔て無く市民と付き合うべきだという思いも持っている。

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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2022年10月10日20時10分 投稿
    【視点】

     これが現時点での市議本人の認識なのだろうから、その内容は「ああ、そうですか」と受け止めるしかないのだが、「家庭を大事にする」との理念に共感したと言いながら、教団が少なからぬ信者の家庭を崩壊させてきた現実に衝撃を受けている様子が見られないの

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