11年ぶりに再開する超赤字路線 つなぎ役の女性が決めた覚悟

有料記事

斎藤徹
[PR]

おかえり只見線①只見線地域コーディネーターの酒井治子さん

 山深い渓谷を蛇行する只見川に沿うように、2両編成の列車がゆっくり走る。

 会津若松駅でJR只見線に乗り込んで1時間余り。奥会津の雄大な景色が目に飛び込んできた。列車はアーチ橋をガタゴトと渡り、青や赤のトタン屋根の集落を抜けていく。

 「日本有数の秘境路線」と言われる只見線。会津川口(金山町)―只見(只見町)間で壊滅的な被害を受けた豪雨災害から11年をへて、10月1日、会津若松と小出(新潟県魚沼市)を結ぶ135・2キロが全線再開する。

 「やることがいっぱいあって頭の中は混乱気味だけど、いよいよ再開。素直にうれしい」

 こう話す只見町出身の酒井治子さん(41)は、福島県の委嘱で2018年から「只見線地域コーディネーター」を務めている。県や沿線自治体、JR東日本と住民のつなぎ役として、再開直前の多忙な日々を送る。町の特産品を製造販売する会社の代表でもあり、車内販売や観光ガイドもしている。

 10月1日、豪雨災害で一部区間が不通となっていたJR只見線が11年ぶりに全線再開します。復活に尽力してきた沿線の人々の思いを、紹介します。

      ◇

 小学生のころは毎日、校庭から只見線を見ていた。父親は保守点検を担う国鉄職員だった。

 会津若松に下宿していた高校生時代は、帰郷に只見線を使った。大学進学で会津を離れたが4年後に戻り、奥会津地域の広域振興団体に就職。結婚し、子育てと両立しながら、観光PRなどの仕事に取り組んできた。

 だが11年、思いもよらない…

この記事は有料記事です。残り946文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら