「軍艦防波堤」の歴史伝えたい 沈められた駆逐艦の名を白ワインに

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上月英興

 【福岡】戦時中の軍艦3隻を沈めて造られた「軍艦防波堤」(北九州市若松区)の歴史を広く知ってもらおうと、軍艦名を冠するワインができた。記憶を語る元乗組員も亡くなったいま、戦争と向き合うきっかけにとの思いが込められている。

 軍艦防波堤は1948年、戦後の資材不足の中で、八幡製鉄所が臨む洞海湾を響灘の荒波から守ろうと、旧日本海軍の駆逐艦「柳」「涼月」「冬月」を沈めてできた。涼月と冬月は腐朽が進み、コンクリートで埋設されるなどしたが、柳は現在も船体の一部を雨風にさらしている。

 今月14日に発売されたワインは「涼月」。沖縄へ特攻に向かう戦艦大和を守るため、45年4月、冬月などとともに出撃した船だ。

 航空機の援護がない中、鹿児島・坊ノ岬沖で米軍機の攻撃を受け、大和など6隻が沈没し、4千人余りが戦死。涼月も爆弾が直撃し海図やコンパスも失ったが、星を頼りに長崎・佐世保へ帰港した。艦首が沈下し、前進すると沈むため、後進で帰投したという。

「戦争の姿を見つめる機会に」

 市民らが参加する「軍艦防波…

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