「叱る」は依存する 親や上司がはまる誘惑と落とし穴、抜け出すには

有料記事アピタル編集長インタビュー

聞き手・岡崎明子
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 ほめて育てたいのに、叱ってしまう。叱っているうちに、だんだん止まらなくなる――。私たちはなぜ、叱るという行為にふりまわされるのか。臨床心理士の村中直人さんは「叱る」には依存性があり、その効果が過大評価されているからだと言う。とはいえ、一切叱らない聖人君子にはなれない。「叱る」とのつきあい方を聞いた。

 ――子どもを叱った後は自己嫌悪に陥るのに、また叱ってしまう。どんどんエスカレートし、抑えられなくなることがあります。

 「お子さんを叱るのは、どんなときですか」

 ――約束の時間になっても宿題を始めないときとか、親に口答えしたときとか……。

 「心の奥では、子どもが自分の言葉に反応し、思い通りに動いてほしいと思っていませんか? そういう意味では、叱るという行為は即効性があります。それだけでなく、『相手が自分の言葉に従う』という自己効力感が得られるし、『悪いことをした人を罰したい』という処罰感情も満たせる。こんなにごほうびがあれば、『叱る』に依存性があっても、おかしくはありません」

 ――では、私は叱ることに「依存」しているのですか?

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 「乱暴な言い方をすると、人…

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    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2022年9月15日19時53分 投稿
    【提案】

    普段から叱ってばかりいると叱ることのインフレが起きて、効果がどんどんなくなって、ますます大きな声で強く長く叱る悪循環になっていくんですよね。新米パパのころは私もよくやりました。でもなんどかそういう失敗を重ねて「叱っても意味なくね?」って気づ

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    岡崎明子
    (朝日新聞デジタル企画報道部編集長)
    2022年9月15日17時41分 投稿
    【視点】

     人は苦労しないと成長しないという「苦痛神話」からの脱却例として村中さんが挙げたのが、「補助輪なしで自転車に乗る方法」でした。  私が子どものころは、親に後ろから支えてもらい、「手を離したよ」と言われると恐怖から転ぶ、ということの繰り返し

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