笑顔の人生展開催へ 東大院生がたどる日系カナダ人の100年 美浜

勝部真一
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 和歌山県美浜町三尾のカナダミュージアムで7日から、企画展「日本とカナダで生き抜いた100年 村尾敏夫展」が開かれる。日系カナダ人漁師として、戦中の強制収容や戦後の混乱も経験しながら、日系コミュニティーに貢献してきた「笑顔」の人生をたどっている。

 村尾さんは1920年、カナダ・スティーブストンで生まれた。両親とも三尾出身で、3歳のときに母親とともに三尾に移り住んだ。16歳でカナダに戻って漁師になったが、太平洋戦争中は日系カナダ人の強制収容を経験。46年に再び日本へ渡り、戦後の混乱や昭和南海地震も目の当たりにした。漁師や進駐軍のトラック運転手などで生活する中で結婚し、長女も誕生。52年カナダへ戻り漁師として家族を支え、2020年に亡くなった。

 企画したのは、三尾でカナダ移民について調査している東京大学大学院1年の岩永淳志さん(24)。20代でカナダへ移住し1986年に95歳で亡くなった中津フデさんにスポットをあてた企画展を2年前に開いていて、今回が第2弾となる。

 子どもや孫に囲まれて笑顔を見せる姿や、正月には茶がゆ、雑煮などの日本食で祝う様子などおだやかな日常をとらえた写真が展示される。「多くの困難に直面した人生だったが、家族の方に提供してもらった写真はどれも笑顔にあふれている」と岩永さん。村尾さんの人生を通じて日系移民や三尾の歴史に触れてほしいという。

 企画展では三尾でフィールドワークを行っている京都外国語大学の学生が制作した、カナダの日系人ゆかりの地を体感できるバーチャルマップも展示される。

 12月28日まで展示の予定。入館料150円。問い合わせはカナダミュージアム(0738・20・6231)。(勝部真一)

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