イラク首相府をサドル派襲撃、治安部隊と衝突 27人死亡、負傷者も

カイロ=武石英史郎
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 中東イラクの首都バグダッドで29日、イスラム教シーア派の指導者サドル師の支持者らが「グリーンゾーン」と呼ばれる国家中枢地区内の首相府や政府庁舎を一斉に襲撃し、治安部隊と戦闘状態になっている。地元メディア「ルダウ」は、少なくとも27人が死亡、多数の負傷者が出ていると伝えた。

 サドル師派系のメディアは40人以上が死亡したと報じた。イラク政府は全土に外出禁止令を出した。SNS上に投稿された映像によると、日本や米国の大使館もあるグリーンゾーンには、対テロ部隊の装甲車が投入され、対するサドル師派は傘下の武装組織が展開し、支持者に自動小銃を配っている。地区内には複数のロケット弾が撃ち込まれ、爆発が起きている。南部バスラなど複数の都市でも戦闘が続いている。

 イラクでは昨年10月の総選挙で、第1党となったサドル師派と、同じシーア派系の親イラン派が対立し、10カ月たっても首相が決まらない異常事態が続く。サドル師は約1カ月にわたり支持者数百人を議会前に座り込ませ、議会の解散と再選挙を要求した。親イラン派が拒否すると、サドル師は29日、ツイッターで政界引退を突然表明。統制が利かなくなった支持者らが暴徒化し始めたという。(カイロ=武石英史郎)

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