第1回投票に行かない20代、親世代にも原因? 見えてきた日本特有の問題
選挙が近づいてくると、必ず「若者の投票率の低さ」が話題になる。日本の若者の投票率は、欧米諸国と比べてもそんなに低いのだろうか。政治への無関心もたびたび指摘される。果たして本当にそうなのか。
国内外の統計を調べつつ、専門家に話を聞くと、過去の教育の問題や、行動と意識の隔たりといった日本特有の事情が見えてきた。
総務省によると、日本の衆院選挙の投票率は2014年に戦後最低となる52・66%を記録。その後も5割ほどの低水準で推移している。中でも特に20代が低く、14年以後、3割あまりしか投票に行っていない。若者は全体と比べて20ポイントほど投票に行く割合が少ないことになる。
では、欧米諸国はどうか。
国立国会図書館の調査及び立法考査局が昨年出したリポートによると、18年の米下院選では、20代や30代前半の投票率が3割ほどで、全体より10ポイントほど低い。19年の英下院選では、18~24歳、25~34歳の投票率が5割ほどだが、全体より10~20ポイント低かった。米英ともに傾向はこの20年で大きく変わってはいない。
選挙制度などが各国で異なるため一概に数字の比較はできないとしても、若者の投票率が他の年代と比べて低い傾向は、日本だけのことではなさそうだ。
フランスに至っては、日本と同じかそれ以上に数字の低さが目立つ。
仏国立統計経済研究所(INSEE)によれば、12年の大統領選と下院選の世代別投票率は、18~24歳、25~29歳は共に3割を切り、17年の選挙ではどちらも2割を切った。全体の投票率と比べても約20ポイント低い。投票率は有権者登録をした人を元に出すが、若者は有権者登録をしない人が多いとされているので、実際はもっと少ないことになる。
フランスは日本以上に若者の政治離れが進んでいるということか。
そう思い、フランス政治が専門の同志社大・吉田徹教授(比較政治)に尋ねると、「フランスの若者は政治参加に積極的ですよ」と意外な答えが返ってきた。
「投票率が低い=政治無関心」ではない
吉田教授によれば、投票率が…
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