「張り子の虎」だったロシア 韓国元陸軍中将が見た弱体化の理由

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聞き手・牧野愛博

 ロシアによるウクライナ侵攻は、韓国の国防政策にも影響を与えています。韓国軍合同参謀本部次長を務めた与党「国民の力」の申源湜(シンウォンシク)議員(元陸軍中将)は、韓国も軍事支援に乗り出す可能性を指摘します。

 ――ウクライナのゼレンスキー大統領が4月11日、オンライン演説をしました。韓国国会の定数は300ですが、出席者は50人程度だったそうですね。

 私も出席できませんでした。当時の与党が、国会議長主催にせず、外交通商委員会主催にしたからです。国会議長主催なら各議員の携帯にショートメッセージが何度も入りますが、今回は3日前にファクスが1枚、議員室に届いただけでした。

 ――当時の与党は、ウクライナの問題に消極的だったのですか。

 文在寅(ムンジェイン)政権に参加した人々は学生運動の経験者が多いため、中国やロシア、北朝鮮に親近感を感じているようでした。文政権はウクライナへの支援にも消極的でした。

 詳細は説明できませんが、米国は水面下で韓国に攻撃用兵器の支援を要請しています。バイデン米大統領が今月訪韓する際、この話が提起されるでしょう。尹錫悦(ユンソンニョル)政権は積極的に対応すると思います。

 ――元韓国軍将校として、ロシア軍の苦戦をどう分析していますか。

 2014年のクリミア「併合宣言」を巡り、ロシアがウクライナを過小評価していたことや、権威主義の腐敗など色々な理由があると思います。

 興味深いのは、ロシア軍にと…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島
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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2022年5月17日19時3分 投稿
    【視点】

    下斗米伸夫氏の名著『アジア冷戦史』(中公新書)が克明に記したように、核武装は多大な重荷になる。それは国家投資のアンバランスと圧政を生み出しやすい。 このインタビューは、核武装重視がロシア軍の弱体化を招いたという分析として、興味深いもの

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