発達障害のグレーゾーンで大学中退 「おれ、どうする?」からの逆転

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鈴木彩子
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 東海地方の男性(26)は高校を卒業後、1年浪人して、晴れて理系の大学に入った。

 待ち受けていたのは、「なにもかも自由」な世界だった。

 時間割を組むのも、残りの時間をどう使うのかも、自分次第。サークル活動に加え、学費や生活費をかせぐためのアルバイトも始めた。

 だが1年目から、つまずいた。

 複数のことを同時進行するのが苦手な中で、学業が、どんどん遅れていった。

 いちばん困ったのが、実験結果などの課題をリポートで提出することだった。

 授業には出席しても、結果を文章にまとめるのがおっくうで、ついつい、先延ばししてしまう。

 課題を提出できないから、授業から足が遠のき、ますます課題がたまる。そんな悪循環に陥っていった。

 「なんでもいいから提出を」と助け舟をだしてくれる先生もいた。

 でも、「適当になんてできない」というこだわりが、ますます提出を遅らせた。

 単位が足りずに1年目に留年が決まった。

 その後も、アルバイトや、サークル活動を優先してしまい、課題提出は締め切りを過ぎるか、提出しないままで終わった。

 気づけば学部生活は6年が過ぎていた。

 「大学7年生」になった2021年の夏。もう、どう頑張っても、卒業に必要な単位を取得できないことがわかった。

 大学中退――。

 うすうすは気づいていたけれど、考えないようにしていた現実を、つきつけられた。

 「大学中退して、おれ、どうする?」

中3の春、親から告げられた

 男性は、ADHD(注意欠如・多動症)の「グレーゾーン」と言われてきた。

 大学中退が目の前に迫った男性にとって、一番の不安は「就活を乗り切ること」でした。記事後半では、いかにしてこの難局を乗り切ったかについてお伝えします。

 小さいころから、人と付き合…

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この記事を書いた人
鈴木彩子
くらし報道部
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー