泊原発の運転に差し止め命令、地裁「防潮堤がない」 審査にも影響か

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平岡春人
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 北海道電力が再稼働を目指す泊(とまり)原発(北海道泊村)の1~3号機について、道内外の約1200人が北電を相手に、運転差し止めや廃炉などを求めた訴訟の判決が31日、札幌地裁であった。谷口哲也裁判長は「基準で求められている津波防護施設(防潮堤)が存在しない。その余の争点について判断するまでもなく、原告らの人格権が侵害されるおそれがある」と述べ、運転差し止めを命じた。

 原告側が求めていた廃炉措置については「廃炉まで必要な具体的な事情はない」として認めなかった。

 1~3号機は東日本大震災後の2011年4月~12年5月、定期検査のため順次停止。北電は13年7月の国の新規制基準施行と同時に再稼働を申請したが、現在も原子力規制委員会で審査が続いている。今回の判決は仮処分とは異なり、確定しない限り再稼働を止める効力はないが、規制委の再稼働審査に影響を与える可能性がある。

 原告らは11年11月に提訴…

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    市田隆
    (朝日新聞記者=調査報道、経済犯罪)
    2022年6月1日16時50分 投稿
    【視点】

    東京電力福島第一原発の事故後、東電の技術系社員がこう話したことがあった。「日本の電力会社の中で、原発関連のスタッフが充実していた東電でさえ、この有り様だ。他の電力の中にはもともと人員不足が言われている会社が複数あり、そこの原発で同じ事故が起

    …続きを読む