中間貯蔵の課題 地権者団体の企画展 いわきの考証館

福地慶太郎
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 東京電力福島第一原発の事故後、福島県内を除染して出た土が搬入されている中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)の課題を伝える企画展が、いわき市内で開かれている。地権者らでつくる「30年中間貯蔵施設地権者会」のメンバーの故郷への思いや、用地契約の現状をパネルで紹介している。

 中間貯蔵施設への除染土の搬入は、2015年に始まった。それから30年後の45年までに、国は土を県外で最終処分すると法律で定めているが、処分地はまだ決まっていない。

 今回の企画展では「私の目が黒い間に土地が戻ってくるのを確認したい」「昔のきれいな故郷を後世に残したい」といった地権者会のメンバーの願いを、事故前の家族写真や町の田園風景などと一緒にパネルで伝えている。

 地権者会が国側に指摘してきた用地契約の問題点も解説した。事業を担う環境省は地権者に土地を売るか貸すか求めているが、「不公平な土地価格を設定し買収に誘導した」などと指摘。地権者会の門馬好春会長(64)は「県外処分できなかった場合の『逃げ道』をつくろうとしている」と分析する。「将来、同じような事業で住民と国が同じ土俵で話し合いができるよう、先例の一つとして知ってほしい」と話す。

 企画展は、いわき市常磐湯本町の温泉旅館「古滝屋」9階にある「原子力災害考証館」(開館は午前10時~午後4時)で開催。入場無料で、宿泊しなくても見学できる。期間は未定。問い合わせは、企画展を主催する「原子力災害考証館furusato」(furusatondm@gmail.comメールする)。福地慶太郎

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