優美な姫路城、太平の世も西国へにらみ 今は時代劇のロケ地に

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編集委員・中村俊介
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 真っ青な空に純白の国宝・姫路城天守閣の壁に春の陽光がまぶしくて、通称の「白鷺(しらさぎ)城」とは、言い得て妙だ。その優美な容姿はどこか貴婦人を思わせ、いくさのための武骨な要塞(ようさい)であることを忘れてしまいそう。

 考えてみれば、近世城郭の天守って黒々としたものが多かった気がする。熊本城しかり、岡山城しかり。たくましくて、なんだか強そうだ。なのに姫路城は、なぜ? 天下太平の時代を迎え、世間の価値観も変化したのだろうか。

 「白は漆喰(しっくい)で、まずは防火。そして権威の象徴。目立つことは大事で、領民にも世の中がかわったことを知らしめたと思います」と姫路市立城郭研究室の工藤茂博さんはいう。現在の姿に整備した池田家は将軍家とも近く、徳川政権を担う一翼として「西国大名へにらみをきかせる意味もあったのでしょうね」。そう、決して美しいだけではなかったのだ。

 さあ、大天守に向かおう。石…

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この記事を書いた人
中村俊介
編集委員|文化財・世界遺産担当
専門・関心分野
考古学、歴史、文化財、世界遺産