川端康成没後50年で新資料 初恋描いた「篝火」の草稿、断片6枚

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中村真理子

 日本人で初めてノーベル文学賞を受けた作家、川端康成(1899~1972)。没後50年を機に、新資料が日本近代文学館(東京都目黒区)で開催中の特別展で公開されている。

 カフェの女給、伊藤初代との悲恋を描いた「篝火(かがりび)」の草稿は、特別展に向けた調査中に確認された。川端はこの初恋を繰り返し描いていた。一連の作品に「南方の火」「非常」「新晴」があるが、今回確認されたのは、また別の断片6枚。主人公が恋人のいる岐阜に到着した場面が描かれている。

 「篝火」が「私」という一人称で書かれたのに対し、草稿は「俊夫」という三人称で表現されている。草稿全文は文芸誌「新潮」5月号に掲載されている。

 読者にとっては、小説の生成…

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