「政治家の意図に思いは至らないのか」MBS番組審議会が見せた役割

有料記事多事奏論

論説委員・田玉恵美
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記者コラム「多事奏論」拡大版 田玉恵美

 ふだんは影が薄い組織に、めずらしく日が当たったなと思った。

 日本維新の会代表らが元日に出演した毎日放送(MBS)のバラエティーについて、番組を見た同局の「番組審議会」委員が、政治的に偏っていたのではないかと疑問符をつけた。MBSは1月19日、定例の記者会見でその事実を明らかにし、放送に至った経緯について内部調査をして改めて3月に番組審議会へ報告すると説明した。

 番組審議会は、局が選んだ外部の有識者らが番組内容などについて意見を述べる場だ。「放送番組の適正を図るため」に放送法はすべての放送局に設置を求め、その意見を尊重することを義務づけている。議事の概要は各社のウェブサイトに掲載され、詳細な議事録は総務省に提出されることもある。放送局の社長も出席する重要な会合だ。

 とはいえ、そこでのやりとりに世間の注目が集まることは通常ほとんどない。放送局を取材していても、ほとんど話題に上ることがなかった。だが今回、MBSが「奥座敷」からひっぱり出した番組審議会の様子をのぞいてみると、率直な意見交換が行われていたことがうかがえる。

 問題になったのは1月1日午後2時半~4時半に関西ローカルで放送された「東野&吉田のほっとけない人」。いずれも吉本興業所属でタレントの東野幸治さんとお笑いコンビ・ブラックマヨネーズの吉田敬さんが出演する不定期放送のトークバラエティーで、これまでに8回放送された。維新元代表の橋下徹氏はそのうち6回に出演。元日の回では現代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪府知事も加わり、3人がそろったのは初めてだった。

 冒頭、こんなナレーションで始まる。

 「去年は新型コロナの対応に…

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