石綿被害の遺族救済制度、3月末に迫る期限 「申請できる、震えた」

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山本恭介
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 石綿(アスベスト)による健康被害を受けた人の遺族を救済する制度の一部で、申請受付の期限が3月27日に迫っている。労災の請求権を失った遺族を対象とした制度は利用できなくなるため、心当たりがある場合は申請を急ぐ必要がある。

民間団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」は申請期間の延長を求めている。「最近でもアスベストのニュースを見て、相談してくる遺族は多い。ここで入り口を閉ざしてしまうと救済からこぼれ落ちる人が出てしまう」と心配する。同会への相談は、0120・117・554へ。

 東京都で美容院を営む女性(78)は今年1月、救済制度への申請を終え、気持ちが少しだけ軽くなった。

 解体工として働いていた夫が肺がんで亡くなってから26年。「死亡から5年以内」と定められた労災申請の時効はとうに過ぎていたが、被害者遺族を救済する仕組みの利用に望みをつなげたからだ。

 夫が亡くなったのは1996年。女性はアスベストによる被害とはまったく考えなかった。しかし、4年ほど前にアスベストのニュースを目にして、「もしかすると」という気持ちが芽生えた。

 夫が働いた会社では、従業員がアスベストの労災認定を受けていた。夫の症状はアスベストの特徴と一致していた。

 労災の時効を迎えていたが、2006年に成立した石綿健康被害救済法には、時効になった被害者遺族を救済する仕組みがあった。アスベストが原因と認められれば、「特別遺族給付金」として1200万円の一時金か、年額240万円の遺族年金を受け取れる。

 だが、証拠資料となる死亡診断書は病院には残っておらず、申請できなかった。一度は諦めていた。

 しかし昨年末、事態が急転す…

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この記事を書いた人
山本恭介
経済部兼国際報道部兼デジタル企画報道部|銀行担当
専門・関心分野
資産形成、社会保障、労働政策