「ロシア軍撤退」は本当か 専門家から懐疑論相次ぐ ウクライナ情勢

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モスクワ=石橋亮介 ワシントン=高野遼
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 ロシアが見せた新たな動きと今後の展望について、識者の見方は分かれる。

 モスクワの有力シンクタンク「ロシア国際問題評議会」のアンドレイ・コルトゥノフ会長は「最も深刻な状況は過ぎ去ったと願う」と話した。状況の緊迫化を受け、英仏独の首脳らが相次いでプーチン大統領と会談したことを挙げ、「プーチン氏はロシア側の懸念に西側の注意を引きつけた。彼の戦略は成功した」と評価。今後、ロシアが米国やNATOと安全保障問題の交渉を進める環境づくりができたとみる。

 米国の専門家らはロシアの出方に懐疑的だ。カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)のダニエル・トリーズマン教授(政治学・ロシア)は「本当に撤退したのか、侵攻準備に影響する規模の撤退なのか検証する必要がある」と話す。「ウクライナや欧米を欺き、奇襲を仕掛ける可能性もゼロではない。現時点では何の結論も出せない」

 米CNNに出演したパネッタ元国防長官も「ロシアからは相反する混在したシグナルが届いているが、プーチン氏の発言は信じられないという前提で動く必要がある。我々がするべきは、最悪のシナリオに備えることだ」と語った。

 ボストン大のジョシュア・シフリンソン准教授(米外交・国際安全保障)は「戦争を始めた責任を、西側に押しつけようとしている可能性もある」と指摘する。ロシアが部隊の撤退に応じたのに、欧米側はNATO拡大の停止を拒んでいる――。そんな理屈で侵攻を正当化する口実にするという可能性だ。

 仮にロシアが一部の部隊を撤…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年2月16日18時24分 投稿
    【視点】

    「本当に撤退するのだろうか」と疑われるのも無理からぬ事です。シリアでも前例があります。ロシア軍は2015年9月にシリアで空爆を開始。プーチン大統領は翌年3月、任務を果たしたとして、主力部隊の撤退を発表しました。朝日新聞は1面で「ロシアのシリ

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