鹿屋への米軍無人機配備 市と防衛省の協定どうなる? 協議の焦点か

稲野慎 奥村智司
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 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)へ米軍無人機「MQ9」の一時配備が計画されている問題で、防衛省側と同市の協議の焦点の一つになりそうなのが、米軍機の訓練をめぐって6年前に交わした両者の協定だ。国として「訓練拡大や米軍基地化は考えていない」と記され、部隊の駐留を伴う新たな「基地負担」との整合性が問われる。

 鹿屋基地は2019年から米軍岩国基地山口県)に駐留するKC130空中給油機の訓練の一部移転を受け入れている。訓練移転に関して16年2月に九州防衛局長と中西茂市長が署名した協定では、訓練内容について【国は、鹿屋基地におけるローテーション展開については「離着陸訓練」「地上給油訓練」「荷下訓練」以外に、追加の訓練や部隊の移駐などについて、日米間で協議は行っておらず、訓練の拡大や米軍基地化は考えていない】と定めた。

 空中給油機以外の米軍の訓練や配備などについて言及していないが、訓練の短縮を米側に申し入れるなど国が負担軽減に向けて努める旨も記される。中西市長はこれまで「協定の内容から1ミリも譲らない」と繰り返し、米軍の展開拡大に否定的な姿勢を示してきた。

 防衛省の関係者によると、今回の鹿屋基地への無人機配備について米軍は早ければ今春以降に7機前後を1年程度運用することを想定。軍関係者ら約100人が駐留する見通しだ。

 防衛局は1月27日、鹿屋市役所を訪れて一時配備の検討状況を伝えた際、協定との整合性を報道陣に問われると「協定の存在は認識しているが、今日は協定の文言についてしっかりとした解釈を準備していない」と回答を保留。2月7日に文書で寄せた回答でも「日米間の調整が進み、本件の内容が固まり次第、鹿屋市と相談しながら整理する」と述べるにとどまった。

 一方の鹿屋市も対応が定まらない。朝日新聞の取材に対し、今回の無人機のような空中給油機以外の米軍訓練や配備などは「想定していなかった。改めて協定の解釈を整理したい」(政策推進課)。ただ、今回の一時配備が米軍関係者の駐留も伴うことについて、「米軍基地化は考えていない」の一節に照らして「疑義が生じているのは事実だ」との認識を示した。

 「鹿児島に米軍はいらない県民の会」の下馬場学さんは「米軍の駐留は県にとって重大事。米軍の展開を増やすまいとする協定やこれまでの市長発言の趣旨からしても、鹿屋市は無人機配備に反対するべきだ」と話す。

 防衛省日米防衛協力課長や九州防衛局長は9日、無人機配備のための現地調査について、中西市長らに市役所で説明する予定だ。(稲野慎、奥村智司)

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