小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で、昨年8月にできた新島が海没した。朝日新聞社機「あすか」で6日、上空から観察した専門家が確認した。新島があった場所は浅瀬になって白波が立っており、波が引いた瞬間に堆積(たいせき)物がわずかに見えるだけになっていた。専門家は「干潮の時間帯でも海面に現れておらず、海没した状態だ。軽石の流出もほぼなくなった」と話した。
本社機は6日午後、干潮の時間帯を狙って福徳岡ノ場を空撮した。昨年10月の空撮では、黒っぽい堆積物の上に層状の噴出物が重なった台地があったが、すべて波で削り取られていた。新島は干潮でも海に沈んだ状態で、引き波のタイミングでわずかに一部が見える状態だった。
周辺の海には、緑っぽく変色した海水が広がっており、海面下ではなお火山活動が続いているとみられる。
一方、大量に漂っていた軽石は、わずかに細い帯状で浮かぶだけだった。西側の海域を50キロほど追跡したが、目視では確認できなかった。社機に同乗した防災科学技術研究所火山研究推進センターの中田節也センター長は「軽石は新島が削られることで流出が続いていたが、ほとんどなくなった」と語った。
福徳岡ノ場は日本に111ある活火山の一つ。昨年8月13日に大噴火が起き、噴煙が高さ16キロまで達した。鹿児島県の桜島で1914年に起きた大正噴火に次ぐ100年ぶりの規模の噴火となった。
海上保安庁の観測で、35年…
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- 【解説】
福徳岡ノ場はこれまでも新島の形成と消滅を繰り返してきました。西之島などと違って溶岩の粘土が低いため、噴出物は軽石のようなものが主体で、積み重なっても波でどんどん削り取られるのです。今回の新島も、消えるまで時間の問題とみられていました。
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