第3回アイスショーの舞台裏で震えた羽生結弦 高橋成美さんは「感動した」
羽生結弦にはじめて抱いた感情は「嫉妬」だった。
2014年ソチオリンピック(五輪)ペア日本代表の高橋成美さん(29)は当時、小学5年生だった。父の転勤で住んでいた中国から一時帰国した際、仙台のリンクで練習した。そこに小学2年生の羽生がいた。
その時、羽生を教えていたのが都築章一郎さん。高橋さんも7歳から指導を受けていた恩師だ。
「都築先生には結構、かわいがっていただいたと思っていたんですけど、日本に戻ってきたら、ゆづ(羽生)にその座を奪われていた。先生の眼中にはまず、ゆづがいて、私はその下だった」
都築さんから「ゆづを見習いなさい」と何度も言われた。「悔しかった。その頃は私の方がジャンプが跳べたので、『できるんだよ』とゆづにマウントをとったこともありました」
でも、都築さんが「見習いなさい」と言った意味がすぐに分かった。
「ゆづは体の軸の作り方がすごく上手。ジャンプでもスピンでも、すごく細い軸を作るからぶれないんです」
「同世代の他の選手たちと一緒にふざけているように見えて、実は自分のやるべきことをやり終えてから、その輪に加わっていたんです」
「『スケートをやるならオリンピックチャンピオンにならないと意味がない』って言っていた。そんなビッグマウスなところにも憧れて、私も同じことを言っていました(笑)」
年上の女の子たちには甘え上手で、年下には気配りができる。コーチや母親たちにもかわいがられる。老若男女に好かれる羽生に対し、当初は「羽生結弦」を演じているのでは?と疑っていたという。
羽生結弦の強さの秘密を、6人の指導者や仲間が語る連載です。高橋さんはあるアイスショーでミスをした羽生を強く覚えていました。6人の証言をまとめた本編の動画は記事の末尾に。
「演じているのかなと思うほ…
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