インターンという名の労働力 人手不足の穴埋め、技能実習と似た構図
ベトナムからインターンとして日本に来る学生が急増している。日本で働いて単位が取得できる制度として、ベトナムの大学で広まってきた。ただ、一部の日本企業は労働力確保の手段に使っている面があり、仲介業者が学生から手数料を取るなど、技能実習と似た構図が定着しつつある。コロナ禍で両国の往来が制限されるなかトラブルも起きている。
仲介業者に30万円超の手数料
ベトナム中部フエにある農林大学の4年生グエン・ティ・ラン・チンさん(22)は昨年7月、大学のインターンシッププログラムで日本に行く予定だった。
食品加工を専攻しており、茨城県内にある食品メーカーの製造工場で衛生や品質の管理を学びたかったからだ。プログラムは大学と日本企業を仲介するハノイの業者が取り仕切っており、手数料は3千ドル(約34万円)。面接などを経て合格した後、半額の約17万円を手続きのための手付金として業者に支払った。
チンさんが会社と交わした契約書によると、工場では週約40時間の勤務で、時給は昨年時点の最低賃金の849円。1カ月の手取りは約10万円を得られる計算だった。「学費を自分で稼ぎたい」。インターンに応募したのは、1人で姉と自分を育ててくれた母親を経済的に助けたい気持ちもあった。
ところが、新型コロナ対策で日本が外国人の新規入国を制限し、渡航できなくなった。いつまでも見通しが立たないため、今年春には参加をあきらめると業者に伝えた。支払った手数料の返金を求めたが、ビザの取得などに費用がかかったとして応じてもらえなかった。
さらに業者からは、チンさんの不参加のせいで一緒に行く予定の残りの学生13人の受け入れが日本側から断られた場合、損害賠償を請求するという文書が届いた。大学の対応も鈍く、渡航予定の時期から1年半近くになる今もトラブルは解決していない。
日本の出入国在留管理庁によると、インターンの在留資格で日本に滞在する外国人は、2015年の377人からコロナ前の19年には10倍近い3564人に増えた。この期間にベトナム人インターンは22人から836人に急増。20年6月末時点にはコロナ禍で451人に減ったが、国別では最多となった。
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