メルクのコロナ飲み薬、近く正式許可へ 臨床試験で入院死亡リスク減

ワシントン=合田禄
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 米製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は11月30日、重症化するリスクが高い軽症や中等症の患者を対象に緊急使用許可を出すよう勧告した。FDAはこの勧告を尊重する可能性が高く、近く正式な許可を出すとみられる。

 モルヌピラビルはウイルスの増殖を防ぐことを狙った薬で、12時間おきに5日間、計10回服用する。もともとはインフルエンザ治療の候補薬だった。

 臨床試験は高齢や肥満、糖尿病といった重症化のリスクが高く、ワクチンを接種していない軽症や中等症の患者が対象だった。中間結果では入院したり、死亡したりするリスクを半減させることができた。ただ、約1500人をモルヌピラビルと偽薬をのむ二つのグループに分けて検証した最終的な解析結果では、入院したり、死亡したりするリスクは約3割の減少にとどまった。

 FDAの諮問委では、13人の委員が重症化するリスクが高い人への緊急使用許可に賛成、10人が反対した。反対した委員からは、薬によってウイルスに変異が生じることのリスクを懸念する声が相次いだ…

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この記事を書いた人
合田禄
アメリカ総局|科学・米国政治担当
専門・関心分野
科学、医療、気候変動、宇宙開発