7区のエース対決 青山学院大は「雲の上の存在」からわざと離れた
第53回全日本大学駅伝が7日にあり、駒大が2連覇で14回目の優勝を果たした。青学大は8秒差の2位だった。
最終8区、8キロ過ぎで青学大の飯田貴之につかまった。トップを走る駒大の花尾恭輔は前を向いたままだ。「相手は見なかった。自分の走りだけに集中した」
全日本は過去2年、8区で逆転が起きた。昨年は駒大がひっくり返した。1位でアンカーにつないだ今年は立場が逆だ。
大八木弘明監督には確信があった。「並ばれてからが彼の強さ。後半に自信の持てる選手なので」
ひょうひょうと足を運んでいた花尾が残り2キロの上り坂でアクセルを踏んだ。絶妙のタイミング。サングラスをかけた飯田の口元がゆがむ。「少し早いかと思ったけど、調子が良かったので」と花尾。トップを守ってテープを切り、仲間の胸に飛び込んだ。
「3位以内」。昨年王者としては控えめな目標だが、無理もなかった。鈴木芽吹や唐沢拓海ら主力をけがなどで欠き、ベストメンバーにはほど遠い。
前半で大差をつけられると逆転は不可能になる。エース田沢廉を7区に配し、そこまでのビハインドをいかに抑えるか。田沢が爆発し、終盤勝負に持ち込めば――。
その思惑がはまった。大八木監督は、逆転のチャンスがある1分半あまりの差で田沢、花尾につないだ選手たちをほめた。「駒大にとっては、本当に大きい」
出雲では昨年の2冠が過信につながった。序盤の遅れを取り戻そうと、何人もの選手がペースを乱した。
この日の6区で区間2位と好走した安原太陽は「オーバーペースにならず、力を使う時には余裕もあった」。逆風の中、己を見つめた先にあった勝利だった。
駒大の田沢廉には、そびえ立つ大木のような存在感がある。「自分だけに頼らずに走って欲しい」。練習で仲間にそう話してきた。
昨年はアンカーを託され、41秒差をひっくり返した。今年は7区。13キロ半ばまでに明大、順大、東京国際大を次々とかわした。
青学大の近藤幸太郎には背後につかれたが、「ライバルと思っていない。絶対に負けることはないと思った」。残り1・5キロ、スピードを上げ、18秒差をつけて最終走者の花尾恭輔に託した。
嫌われ役をいとわない。
練習態度はもちろん、乱れた…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら