コロナ特例の働き手支援利用、想定の2~3割で低調 「検証を」

山本恭介
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 コロナ禍に苦しむ働き手を支えようと整備されたのに使われない制度が目立っている。会社から休業手当が払われない人の生活支援、成長が見込める産業への転職支援といった制度の利用は想定の2~3割程度にとどまる。13日にあった厚生労働省の審議会でも検証を求める声があがった。

 コロナ禍では、飲食・観光業などで休業に追い込まれる事業所が続出した。政府は勤務先から休業手当が出ない人が申請できる「休業支援金」を設け、昨年7月から受け付けを開始。今年10月7日までに約1940億円を支出したが、確保した予算5700億円の3割強にとどまる。雇用主による休業証明がないと給付されないことなどが壁になっていると、労働者支援団体が指摘している。

 「求職者支援制度」は転職を促そうと強化された。月10万円の生活費支援を得ながら職業訓練を積める制度で、今年度の利用目標は5万人。だが、8月までの利用はその2割強の約1万1千人で、達成は遠い。

 人手が足りない業界への在籍出向を促す「産業雇用安定助成金」は2月に創設された。9月24日までの利用は7874人。年度末までに想定した約4万4千人の2割弱にとどまる。

 申請手続きの煩雑さや周知不足を問題視する声が多い。13日の審議会では、委員が求職者支援制度について「目標より少なく推移しているのは課題。要因の検証が必要」と指摘した。厚労省は周知のための情報発信に努めるとしている。

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この記事を書いた人
山本恭介
国際報道部
専門・関心分野
国際関係、マネー、社会保障