届かぬ働く人の支援策 前大臣も「制度わからない人たくさんいる」 

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橋本拓樹 山本恭介
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 田村憲久・前厚生労働相は10月の退任会見でコロナ禍の影響が大きい飲食や小売業の雇用問題に触れ、「違う職種に移動してもらうメニューをたくさんつくった。だが十分使ってもらえない人がいた」と語った。制度が想定通りに使われなかったことを認めた形だ。

 コロナ禍対応を迫られた昨年春、政府は失業者の増加を抑える政策を前面に打ち出した。雇用を維持して休業手当を払った企業を支援する「雇用調整助成金(雇調金)」の助成率や助成額を大幅に引き上げた。

 これを受け、航空、飲食、観光などの大手をはじめとする多くの企業が雇調金を活用。今年10月までの支出決定は4・6兆円を超えた。コロナ禍が長引いて雇用保険の財源だけでは足りなくなり、1兆円以上の税金が投入されている。

 しかし、雇調金は企業しか申請できないため、シフト制の非正規雇用を中心に、休業手当を受け取れない働き手も相次いだ。そこで政府は「休業支援金」を新設。働き手が自ら申請できるようにした。だが、休業支援金の予算消化率は3割強。田村氏も「(制度を)分からない人がたくさんいる」と言う。

 野村総合研究所の昨年12月の調査では、シフトが減ったパート・アルバイト女性の6割が、休業支援金の存在を知らなかった。知っていると答えた1割強でも、ほとんどは申請していなかった。理由の大半は「自分が対象か分からなかった」からだという。野村総研の武田佳奈上級コンサルタントによると、コロナ禍でシフトが5割以上減り、かつ休業手当を受け取っていない人は5月時点で女性が約92万人、男性が約40万人と推計できるという。

 武田氏は「苦しい状況の人に…

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