高齢化進むタイ、工場の「ロボット化」に本腰 日本企業が売り込み

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バンコク=福山亜希
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 タイの工場では、いたるところで外国人労働者の姿を目にする。少子高齢化で働き手が減っているためだ。そこで注目されているのが、日本の産業用ロボット。コロナ下でも「3密」も関係なく働いてくれる。日系企業は使い手の人材育成も手がけ、売り込みを進めている。(バンコク=福山亜希)

ふくやま・あき 1979年生まれ。経済部を経て昨年からアジア総局員。クーデターに揺れるミャンマーも担当。

 タイ有数の観光地パタヤに近い、東部ラヨーン県の工業団地。製紙会社「タイペーパーミル」の工場では、大量の古紙がベルトコンベヤーを流れ、粉砕されていく。できあがったシート状の段ボールの束を、10人のカンボジア人従業員が黙々と運び、出荷の準備をしていた。

 単純作業だが、一日中続けていると腰や肩が痛む。作業は時々滞り、そのたびに前の工程の速度を落とさなければならない。

 長年この課題に悩まされてきたチュサック・ホンギョク工場長は3月、川崎重工業の荷積み用ロボット1台と付属品を約450万円で買った。さらに数台購入し、段ボールを積み上げて搬送するまでの作業を自動化する計画だ。外国人労働者の人件費はひとり月5万円ほど。ロボットの費用と人件費をてんびんにかけると二の足を踏んだが、将来への投資なのだと決断した。

 「タイ人は賃金が上がり、肉体労働も敬遠するので、人を集めにくい。コロナ禍で従業員が感染したら工場は止まってしまう。今手を打つべきだと考えた」。チュサックさんは語る。

 これからはタイでロボットが売れる――。そう見込んで、多くの日系ロボットメーカーが攻勢をかけている。

 同じラヨーン県内に、川重が…

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