第3回ワクチン調整「まず俺に」 河野氏就任、直後から軋轢
始まりは、1月4日の年頭記者会見だった。政府が首都圏の1都3県に2回目の緊急事態宣言の発出を迫られていたタイミングで、菅義偉首相は初めて新型コロナのワクチン接種のスタート時期を打ち出した。
「2月下旬までには、接種開始できるように準備を進める。医療従事者、高齢者などから順次開始したい」
菅政権は、すでにコロナ対応で強い逆風にさらされていた。
首相肝いりの観光支援策「Go To トラベル」は停止に追い込まれた。首相自身が東京・銀座のステーキ店で自民党の二階俊博幹事長らと5人以上で会食したことは、政府が「会食自粛」を呼びかけるなかで、世論の批判を浴びた。
そんな窮地で、首相が「切り札」として期待を寄せたのがワクチン接種だ。その調整役を、かねて目をかけてきた河野太郎行政改革相に託した。
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緊急事態宣言がまた拡大・延長されます。新型コロナの感染拡大を抑え、国民の信を問うという菅義偉首相の戦略は崩れつつあります。A-stories「漂流 菅政権 コロナの時代」では、政権発足以来のコロナ対応を検証します。
1月18日、首相は河野氏を官邸に呼び、ワクチンの担当を命じた。官邸幹部は「省庁間の調整や、何より国会対応で大臣が必要になる」と、起用の狙いを語った。行革相としての自らの仕事ぶりを、「100点満点中、1千点くらい」と評していた河野氏。行政手続きから押印を廃止する取り組みを進め、「突破力」も印象づけていた。
「調整するタイプではない」当初から不安視
閣僚経験者は「ポスト菅」に…