中国国営新華社通信は23日、習近平(シーチンピン)国家主席がチベット自治区を視察したと伝えた。習氏のチベット訪問は国家副主席だった2011年以来で、国家主席就任後は初。習氏は地元幹部らとの協議で「共産党中央のチベットに対する政策は完全に正しい」と強調。自らの訪問によって統治の正当性をアピールした形だ。

 今年は人民解放軍によるラサ進駐から70年にあたる。習氏は21日にチベット東部ニンティに入り、6月に開通したばかりの鉄道で区都ラサへ移動した。鉄道は四川省成都まで延ばす計画だ。その後、2008年のチベット騒乱で最初に抗議デモが広がったデプン寺やポタラ宮広場などを視察。新華社によると、習氏はチベット僧に対し、チベット仏教が社会主義に適応するよう積極的な役割を求めたという。

 習指導部はインフラ整備や脱貧困政策による巨額投資で経済成長を促し、チベット族らの信任を得ようと動いてきた。一方、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世は「政敵」と位置づけ、表だった信仰を認めない宗教管理政策を進めている。(北京=冨名腰隆)