米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」

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ワシントン=園田耕司 編集委員=佐藤武嗣
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 米インド太平洋軍(司令部・ハワイ)が九州・沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線に沿って対中ミサイル網を構築する計画を進めている。米国は配備先として第1列島線の延長線で中国に近接している日本国内を最有力候補地と考えており、実際に配備となれば、日本は米中対立の最前線として軍事的緊張を強いられることになる。(ワシントン=園田耕司、編集委員=佐藤武嗣

 「中国は今世紀半ばまでに米国より軍事的な優位性をもつ考えを公言している。強力な経済力をもち、徹底的に資源を投資するつもりだ」。米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は6月中旬、上院歳出委員会の公聴会でこう述べると、危機感を示した。「米国は平和と抑止を続けるために軍事的な優位性を維持しなければいけない。失敗すれば、将来の世代を大きなリスクにさらすことになる」

背景に中国のミサイル開発強化

 2022会計年度国防総省予算では、「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」に51億ドル(約5600億円)が計上された。PDIは中国への対抗を目的として、太平洋地域での米軍強化のために設置された新たな基金だ。米インド太平洋軍はさらに8億9千万ドルを要求する考えも議会に示している。

 インド太平洋軍が3月、PDIに基づき、米議会に提出した予算要望書のリストの中で最も注目されるのが、第1列島線に沿って配備される射程500キロ以上の地上発射型ミサイル網の構築だ。5年間の総額として29億ドルを計上。米国が中距離核戦力(INF)全廃条約から脱退したことでこの射程の配備が可能になった。

 背景には、中国がミサイル開…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2021年7月8日13時32分 投稿
    【解説】

    アメリカがINF条約から脱退した後、日本への中距離ミサイル配備問題は数年前から専門家の間で議論されてきました(なお核弾頭は想定されていません)。記事、また本日のインタビュー記事(「対中国ミサイル網構築の狙いは 米国の元高官2人が語る」)が多

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2021年7月8日10時55分 投稿
    【視点】

    米国が日本に配備したがっているミサイルは、中国に向けられたものです。しかしこの問題については、ロシアのプーチン大統領も、しばしば懸念を表明してきました。 最近では6月4日、日本との平和条約交渉が困難な理由として日本への米国ミサイル配備計画

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