台湾情勢で麻生氏「次はとなれば存立危機事態に関係も」

中田絢子
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 麻生太郎副総理兼財務相は5日、台湾海峡情勢をめぐり、「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と述べた。台湾有事を念頭に集団的自衛権を行使できる存立危機事態の認定につながる可能性を指摘した形だ。

 東京都内で開かれた自民党衆院議員の会合で講演し、語った。

 存立危機事態は2015年に成立した安全保障法制で新たに規定。日本が直接攻撃は受けなくても、米国など「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生し、これによって「我が国の存立が脅かされる」「国民の生命や自由が根底から覆される」といった事態と判断し、一定の要件を満たせば、集団的自衛権を一部行使できる。

 菅義偉首相は今年4月の民放の番組で、台湾有事が存立危機事態に当たる可能性があるかと問われ、「仮定のことに答えることは控えたい」と述べていた。

 また、麻生氏は講演で、中国の台湾政策についても言及。「いきなり爆撃するとか、いまの時代はそんなもんじゃないから」と前置きしたうえで、「ストライキやデモが台北市内でわんわん起きて、総統府が占拠され、総統が逮捕拉致される」という想定を披露。そうした場合、中国が台湾側の要請を受けて、即座に鎮圧に乗り出すとの見方を示し、「『中国の内政問題だ』と言われたら、どう世界は対応するか。香港も同じようなことだったのではないか」と指摘した。中田絢子

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2021年7月6日13時14分 投稿
    【解説】

    これは麻生氏による政治的観測気球の発言であり、政府として世論の反応をみながら理解を得ていこうとする意図があると考えるべきでしょう。 台湾で有事が発生した場合、米軍の後方支援等を行う枠組みは、現在は重要影響事態と呼ばれます。その原型は90年

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